第54回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

ポスターセッション

心臓血管機能

ポスターセッション15(P15)
心臓血管機能 1

2018年7月5日(木) 18:00 〜 19:00 ポスター会場 (311+312+313+315)

座長:馬場 礼三(中部大学 生命健康科学部)

[P15-02] Norwood術後の大動脈圧反射は体心室右室硬化の主要因かもしれない

豊村 大亮, 石川 友一, 倉岡 彩子, 兒玉 祥彦, 中村 真, 佐川 浩一, 石川 司朗 (福岡市立こども病院 循環器科)

キーワード:augmentation index, Norwood, HLHS

【背景と目的】Augmentation index(AI)は動脈波中の圧反射波成分を定量した指標で広く用いられる。しかしNorwood術後の圧反射の態様はよく知られていない。本研究は特徴的な大動脈特性を有するNorwood術後のAIからその反射波の態様・影響を明らかとすることを目的に行った。【方法】2016 年4月から2017年12月に当院で施行した左心低形成症候群(HLHS)48例、61件のカテーテル検査を対象とした(N群:Norwood後 21件 1.0歳(中央値)、B群:BDG後 14件 2.5歳、T群:TCPC後 26件 5.5歳)。上行大動脈圧曲線から目視にて増大波を脈圧で除して算出したAIと各血行動態指標を比較検討した。心室Stiffness=(RVEDP-RV最小圧)*BSA/RVEDV-RVESV, 動脈エラスタンス(Ea)=大動脈平均圧*BSA/ RVEDV-RVESVという計算式で算出した。【結果】AIはN群 0.24±0.11、B群0.26±0.08、T群 0.16±0.08であり、全群で心室Stiffnessと強い正相関を示し(N群/B群/T群: R=0.85/0.52/0.70, p<0.01/=0.05/<0.01), EFとはT群でのみ有意な負相関を示した(R=-0.46, p=0.009)。一方、Eaと心室Stiffness、および遺残大動脈縮窄圧較差と心室Stiffnessには有意な相関を認めなかった。【考察】Norwood手術における大動脈形成は長い縫合線や時に人工物による補填を必要とし、多くの壁硬化因子を有する上、時に弓部縮窄が残存し術後の圧反射が増大していると推測される。本検討から心室Stiffnessとの相関はAIで極めて大きく、Eaや遺残弓部圧較差では認めなかったことから、大動脈圧反射はTCPC術後HLHSの遠隔期心室機能、特に拡張能増悪の主要因である可能性が考えられた。【結論】大動脈圧反射はNorwood 術後の体心室右室硬化を招来している可能性がある。