[P15-05] 腹部圧迫法による簡便な容量負荷によるFontan循環の心室stiffness評価
キーワード:Fontan, stiff, abdominal compression
【背景】心室拡張期stiffnessは、Fontan循環の良否を左右する重要な心室特性である。しかしその評価は、通常の心臓カテーテル検査を行っても難しい。心室拡張末期圧(EDP)と異なり、心室最小圧の圧トランスデューサーによる正確な測定が困難であることも一因である。本研究は、簡便容易・可逆的な容量負荷法である腹部圧迫中に、測定の容易なEDPを計測することで、心室stiffness評価が可能かを検討した。
【方法】対象は、心臓カテーテル検査中に腹部圧迫法を施行した、人工弁を有さないFontan術後患者34例(中央値7歳、3-20歳)。高精度圧ワイヤーで心室圧をモニタリングしながら、一定の強さと深度でgentleに腹部圧迫を行った。心室stiffness(K)は、心室拡張期圧上昇(EDP-最小圧)をFick法で求めた一回拍出量係数で除して求めた。腹部圧迫中の最大EDP、EDP上昇幅と、Kの関連を単回帰、と他の変数を考慮した多変量解析で検討した。静脈キャパシタンスは、下大静脈一過性閉鎖中の下大静脈圧と大動脈圧の変化から求めた。
【結果】対象のEDPは中央値9 (3-15)mmHg、 CVPは中央値11 (7-21)mmHg、Kは中央値0.13 (0.08-0.28) mmHg/mL/m 2であった。 Kは、EDP上昇幅(R=0.56)、および腹部圧迫中の最大EDP(R=0.75, P<0.0001)と良好に相関した。これらの関係は、静脈と心室の間の因子である、静脈キャパシタンス、中心静脈圧、肺血管抵抗の影響を受けず、腹部圧迫中の最大EDPがKの独立規定因子であった。
【考察】肺側心室を有さないFontan循環でも、腹部圧迫は簡便・容易な心室容量負荷法として有用である。腹部圧迫中の最大EDPを観察することで、Fontan患者の心室stiffnessの凡その評価が可能であり、心臓カテーテル検査中の検討に値すると考えられた。
【方法】対象は、心臓カテーテル検査中に腹部圧迫法を施行した、人工弁を有さないFontan術後患者34例(中央値7歳、3-20歳)。高精度圧ワイヤーで心室圧をモニタリングしながら、一定の強さと深度でgentleに腹部圧迫を行った。心室stiffness(K)は、心室拡張期圧上昇(EDP-最小圧)をFick法で求めた一回拍出量係数で除して求めた。腹部圧迫中の最大EDP、EDP上昇幅と、Kの関連を単回帰、と他の変数を考慮した多変量解析で検討した。静脈キャパシタンスは、下大静脈一過性閉鎖中の下大静脈圧と大動脈圧の変化から求めた。
【結果】対象のEDPは中央値9 (3-15)mmHg、 CVPは中央値11 (7-21)mmHg、Kは中央値0.13 (0.08-0.28) mmHg/mL/m 2であった。 Kは、EDP上昇幅(R=0.56)、および腹部圧迫中の最大EDP(R=0.75, P<0.0001)と良好に相関した。これらの関係は、静脈と心室の間の因子である、静脈キャパシタンス、中心静脈圧、肺血管抵抗の影響を受けず、腹部圧迫中の最大EDPがKの独立規定因子であった。
【考察】肺側心室を有さないFontan循環でも、腹部圧迫は簡便・容易な心室容量負荷法として有用である。腹部圧迫中の最大EDPを観察することで、Fontan患者の心室stiffnessの凡その評価が可能であり、心臓カテーテル検査中の検討に値すると考えられた。