[P16-02] 総肺静脈還流異常修復術後の部分肺静脈還流異常遺残成人症例に対する術式の工夫(2例報告)
Keywords:部分肺静脈還流異常, 総肺静脈還流異常, 成人先天性心疾患
【症例1】21歳女性。生後14日、下心臓型総肺静脈還流異常修復術が施行された。20歳時、CTで左肺静脈が垂直静脈から門脈へ還流する部分肺静脈還流異常を指摘され手術介入の方針となった。手術は再胸骨正中切開でアプローチ。左房後壁、左肺静脈、垂直静脈を内胸動脈剥離用の開胸器、heart positionerを用いてoff-pumpで剥離した。冠静脈洞が左房後壁上を走行するため左房だけでは充分な吻合口が確保できないため、人工心肺、心停止下に垂直静脈を離断し左心房から右心房まで切開し約2cm大の吻合口を確保した。心房中隔は心膜パッチを用いて右側へ偏位させて再建した。術後CTでは再建された左肺静脈は狭窄なく左房へ還流していた。【症例2】35歳女性。生後10か月時に上心臓型総肺静脈還流異常(1a)修復術が施行された。34歳より発作性心房粗動を指摘された。CTで左上肺静脈が垂直静脈から無名静脈へ還流する部分肺静脈還流異常を指摘され手術介入の方針となった。手術は胸骨再正中切開、人工心肺、心停止下に垂直静脈から左心耳へ10mmリング付きゴアテックス人工血管を用いて血流路を再建した。左心耳内へ人工血管を約3cm内挿し肉柱による狭窄を予防した。垂直静脈-無名静脈移行部は結紮した。不整脈予防のため右房三尖弁峡部へ冷凍凝固を追加した。術後CTでは左上肺静脈は良好に左房へ還流していた。心電図では洞調律を維持していた。【結語】さまざまな工夫により術後肺静脈閉塞をきたすことなく、部分肺静脈還流異常遺残修復術が施行できた。