第54回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

ポスターセッション

外科治療

ポスターセッション16(P16)
外科治療 1

2018年7月5日(木) 18:00 〜 19:00 ポスター会場 (311+312+313+315)

座長:岡村 達(長野県立こども病院 心臓血管外科)

[P16-04] Pulmonary coarctationに対する体肺短絡手術と肺動脈形成術同時手術の有効性

福西 琢真1, 宮地 鑑1, 大友 勇樹1, 高梨 学2, 斎木 宏文2, 菅本 健司2, 先崎 秀明2, 石井 正浩2 (1.北里大学 医学部 心臓血管外科, 2.北里大学 医学部 小児科)

キーワード:Pulmonary coarctation, Blalock-Taussig shunt, 肺動脈形成

【背景】肺血流動脈管依存性の心疾患では動脈管組織の迷入によるPulmonary coarctationは良好な肺循環を阻害する重大な病態である。われわれは早期に左右均等な肺血流を達成するため、体肺短絡手術であるBlalock-Taussig shunt(BTS)と同時に肺動脈形成を積極的に行ってきた。BTSと肺動脈形成術同時手術の有効性を検討した。【方法】2006年10月から2017年12月に当施設でPulmonary coarctationと診断された14例を対象とした。単心室循環が7例、二心室循環が7例であった。手術時日齢は平均26日(13-61)、体重は平均3.1kg (2.7-3.8)であった。全例、人工心肺使用下にBTSと肺動脈形成を行い、狭窄部切除担端々吻合(EEA)が8例、ePTFE人工血管によるパッチ形成(PP)が6例であった。手術時間は261±76分、人工心肺時間は112±42分、術後SpO2は84±6%であった。直近3例(EEA 2例、PP 1例)は造影検査未施行のため除外した。術後の肺動脈形態(左右肺動脈直径比PA ratio;非シャント側/シャント側)ついて後視法的に検討した。【結果】全例、手術死亡・病院死亡はなく、PP1例にシャント不全を認めた。初回血管造影検査は術後97.5±27.7日に施行、PA ratioは平均0.84±0.31 (0.31-1.22)、根治術・Fontan術後造影検査ではPA ratioは平均0.72±0.09 (0.64-0.85)であった。EEAとPP群の比較では、初回造影ではEEA群で良好な肺動脈形態を示した(EEA: 0.93±0.21 vs PP: 0.73±0.39、p<0.001)が、根治術後造影では明らかな有意差を認めなかった(EEA: 0.77±0.09 vs PP: 0.64±0.003、p=0.15)。EEAとPP群で各2例ずつ計4例に根治手術もしくは段階的手術時に肺動脈形成が施行された。追加の体肺短絡手術や肺動脈形成を施行した症例はなかった。【結語】新生児期・乳児早期にBTSと肺動脈形成術を同時に施行することで、根治術・Fontan手術までに肺循環に対する追加手術を回避し、良好な左右肺血流バランスを実現することができた。