[P17-02] 新生児期発症のMarfan症候群に対する僧帽弁、大動脈手術の時期と手術法
Keywords:Marfan症候群, 上行大動脈拡大, 僧帽弁逆流
【背景】新生児Marfan症候群は稀な疾患だが1年生存率50%と予後不良な疾患で、死亡原因は僧帽弁逆流による心不全や大動脈解離である。新生児期・乳児期の弁形成術では再手術の必要性も高く、手術時期が予後を規定しないという報告もあり、適切な手術時期・方法に関してコンセンサスが得られていない。【症例】6歳女児、在胎38週に予定帝王切開で出生後、呼吸障害のため当院NICUに入院。クモ状指、胸骨突出があり、Valsalva洞は軽度拡大していた。6か月時に遺伝子検査で新生児Marfan症候群と確定診断(FBN1遺伝子変異Cys1086Tyr)した。診断後ロサルタンの内服を開始したが、上行大動脈拡大は経年的に増悪(+3mm/年)し、僧帽弁逆流が1歳時から出現、2歳頃より増悪した。ロサルタン増量+アテノロール内服を追加したが大動脈基部拡大と心拡大が進行した。6歳時に左室壁運動不良が出現したため各種精査を施行。Rossの心不全分類は2度、NTpro BNPは491.9pg/ml。心エコー図検査で僧帽弁は逸脱し僧帽弁逆流は高度、僧帽弁輪径は51mm(+8.4SD)、左室拡張末期径 59mm(+5.4SD)、simpson EF 53%、左室心尖部の壁運動不良を認めた。上行大動脈造影および造影CTで大動脈基部の拡大を認め、大動脈弁輪 18mm(+3.3SD)、Valsalva洞 36mm(+7.1SD)、ST junction 19mm(+2.3SD)、上行大動脈 16mm(+0.5SD)であった。当院心臓血管外科で僧帽弁置換術及び上行大動脈置換術を予定している。【考察】内科治療の複合でこれまで大きなイベントなく経過した一方で、左室機能障害を来たした。原疾患に伴う心筋症の合併も否定できないが、適切な手術時期や術式に関して悩ましい症例である。文献的考察を踏まえ新生児Marfan症候群の手術時期、方法について検討する。