第54回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

ポスターセッション

外科治療

ポスターセッション18(P18)
外科治療 3

2018年7月5日(木) 18:00 〜 19:00 ポスター会場 (311+312+313+315)

座長:圓尾 文子(加古川中央市民病院 心臓血管外科)

[P18-01] 上心臓型総肺静脈還流異常症修復術におけるラテラルアプローチの有用性

岡 徳彦1, 宮本 隆司1, 友保 貴博1, 林 秀憲1, 小林 富男1, 宮地 鑑2 (1.群馬県立小児医療センター 心臓血管外科, 2.北里大学 医学部 心臓血管外科)

キーワード:総肺静脈還流異常症, 外科治療, 上心臓型

(背景)総肺静脈還流異常症修復術に際し、最近ではPrimary sutureless techniqueを用いる施設が増加している。しかし我々は以前より、1)左房と共通肺静脈のずれのない切開線の決定2)内膜面どうしの正確な縫合3)正常僧帽弁輪径以上の吻合口作成4)術中吻合部流速が1.5m/s以上の際の別アプローチでの追加吻合を行うことで、従来からの直接吻合でも術後肺静脈狭窄(PVO)を防ぐことが可能であると考えている。特に上心臓型に際しては、切開線の決定にラテラルアプローチ(LA)が有用と考え第一選択としている。(目的)上心臓型総肺静脈還流異常症修復術におけるLAの有用性を検討すること(方法)2007年2月から2018年1月までに上記治療方針にて修復術を行った上心臓型総肺静脈還流異常症修復術11例を後方視的に検討。(結果)術後経過観察期間は52±45か月、平均手術時日齢38±62日、Ia 9例、Ib 2例。手術死亡、遠隔死亡ともになく、術後PVOもない。初期Ia 3例及びIb 1例、計4例をスペリアーアプローチ(SA)、7例をLAにて行った。平均人工心肺時間156±34分(SA:LA 175±40 : 145±28)、大動脈遮断時間84±23分(SA:LA 96±34 分: 78±14分)、SA群のIa 2例がLAでの追加吻合を要し、流速の軽減を得た。心エコーによる術中平均吻合部流速0.96±0.27m/s(SA:LA 0.93±0.38m/s : 0.98±0.20m/s)、最終平均流速1.05±0.23m/s(SA:LA 1.08±0.34m/s : 1.03±0.18m/s)。両群間の平均流速、大動脈遮断時間などデータに有意差はなかった。(考察)両群間に有意差はないが、SA群初期2例で軽度の吻合部狭窄を認めLAでの追加吻合を要した。LA群に吻合部狭窄はなく、術中追加吻合も要していないことから、LAは切開線の決定及び吻合という点で、本修復術のアプローチとして有用である可能性が示唆された。