[P18-05] 止血用血管クリップを用いた体肺動脈シャントの血流制限の短期成績
Keywords:BTシャント, 血流調節, クリップ
【目的】体肺動脈シャント手術における肺血流調節には苦慮することがあり、肺血流過多時の肺血流調節として血管止血用クリップ(Hemoclip)を用いることがある。今回その短期成績と問題点を検討する。【方法】当院で2013年以降に施行したBTシャント手術62例のうち、Hemoclipを用いて血流調節を行った14例を対象とした。手術時年齢4日-6ヶ月(中央値1か月)、手術時体重2.1kg-8.6kg(中央値 3.8kg)。疾患は単心室群11例(Asplenia 6, HLHS 2, PA/IVS 2, other 1)、二心室群3例(TOF 3)。使用した人工血管径は3.5mm 10例、4.0mm 4例。全例が胸骨正中切開で施行。同時施行手術はNorwood 4例、PA plasty4例、CAVC repair1例、TAPVC repair 1例。【結果】BTシャント術中に11例、術後にICU又は手術室で7例(うち2例はICUでのhigh flow shock)に調節を行い、以後肺血流過多に伴う循環の悪化なし。全例で術後急性期にヘパリン投与し、その後アスピリンを内服。術後3例がTCPC、6例がBDG、1例が二心室修復に到達し、早期死亡はなし。遠隔死亡は3例(TCPC術後重症感染1例、房室弁逆流に伴う心不全1例、シャント血栓閉塞1例)。クリップに関連した人工血管損傷・出血はなし。1例に体重増加に伴う相対的肺血流不足のため外科的にクリップ除去を行い、1例に進行するチアノーゼに対しPTAによるカテーテル的クリップ除去を行った。【結論】クリップによるBTシャント術後の肺血流調節は簡便であり複数回の試行も可能であるため、特に低体重児やNorwood術後などの開心術後の肺血流調節には有効であった。しかし、シャント閉塞例も認めるため退院時には十分な肺血流評価と必要であればPTAなどによるクリップ除去も念頭に置く必要があり、他の抗凝固療法の追加も検討する必要があるかもしれない。