[P19-02] 心拍数の低い右室流出路起源心室頻拍により頻拍誘発性心筋症を発症した9歳女児
キーワード:心室頻拍, 頻拍誘発性心筋症, アブレーション治療
[背景]頻拍誘発性心筋症は持続的頻拍に続発する左室機能不全である。比較的心拍数の低い無症候性頻拍の場合、慢性的な経過で心機能が低下し、心不全症状で診断されることがある。[症例]9歳女児。体動時の息切れと前胸部痛を主訴に前医を受診し、脈不整、心拡大、左室駆出率低下を指摘された。心筋炎・心筋症疑いとして当院受診時、心室頻拍(心拍数120-130/分、右脚ブロック型、下方軸)を認め、左室駆出率 42%と低下していた。心筋炎・心筋症を疑い、鎮静の上、大量ガンマグロブリン投与とlandiolol持続投与を行った。心室頻拍は鎮静のみで停止し、左室駆出率は心室頻拍停止4日後に60%へと正常化した。経過から頻発誘発性心筋症と診断した。landiolol持続静注からpropranolol内服に移行した際、最大20秒間継続する非持続性心室頻拍を認め、propranololをatenololに変更した。以降、心室頻拍と心室性期外収縮は認めなかった。1年後の定期受診の際、心拍数110-120/分の無症候性心室頻拍と左室駆出率50%への低下を認めた。landiolol持続静注を開始し、心室頻拍は停止した。原因は怠薬と考えられた。内服指導を徹底していたが、さらに1年後の定期受診時に心拍数110-120/分の無症候性心室頻拍を再度認めた。landiololの持続静注を開始し極量まで増量したが心室頻拍の停止は得られなかった。心室頻拍は睡眠時に自然停止した。β阻害薬の内服にもかかわらず無症候性心室頻拍と心機能低下を繰り返すため、アブレーション治療の適応と判断した。心臓電気生理学的検査では右室流出路起源の心室頻拍を認め、アブレーションを施行した。[結語]心拍数の低い無症候性心室頻拍や頻度の多い心室性期外収縮では、心機能の定期的な評価を行い、薬物治療やカテーテルアブレーション治療による積極的な介入を検討する。