[P19-05] LQTSが疑われていたにもかかわらず、通院を自己中断し6年後に心肺停止を来した13歳女児例
Keywords:LQTS, Cardiovascular event, S-ICD
【背景】 心臓突然死を生じる致死性不整脈を呈する可能性のあるQT延長症候群(LQTS)などの検出は、学校心臓検診の主目的の一つになっている。今回、小学校1年生の学校心臓検診でLQTSが強く疑われていたにもかかわらず、定期健診が自己中断され、6年後に心停止に至り救命された症例を経験したので報告する。【症例】13歳女児。小学校の学校心臓検診でQT延長を指摘され、当科を紹介受診した。QTcは500msecと延長しており、エピネフリン負荷試験ではLQTSの2型が疑われた。心イベント発症の可能性が高いと考え、遺伝子検査や薬剤導入を提案したが、両親からの同意は得られなかった。運動制限を行い外来での定期健診を行ったが、数か月後には自己中断した。6年後の中学校の心臓検診でも心電図で要精査となり他院を受診したが、問題なしと判断された。その数か月後、自宅で心室細動による心肺停止となった。心肺蘇生され、集学的治療を受けたが、低酸素性脳症による視覚障害を残した。当科に転院後プロプラノロールおよびメキシレチンで不整脈コントロールは良好だった。心肺停止の影響と思われる心収縮能低下を認めたが、抗心不全治療で徐々に改善した。今後、皮下植え込み型除細動器(S-ICD)植え込みを予定している。初診時に、医療者側から十分な説明を行ったつもりではあったが、両親は、将来心停止を起こす可能性を理解していたものの、症状がないため定期受診の必要性はないと考えていた。【まとめ】学校心臓検診がきっかけで、心イベント発症を予測できた可能性があったのにも関わらず、定期受診の自己中断で心停止に至った一例を経験した。患者への説明が十分に伝わっていなかったと考えられ、患者の疾患に対する理解を確認する必要があった。学校心臓検診の貢献度は大きいので、患者利益へとつなげられる指導・管理を行う必要があると考えられた。