[P20-03] 予防できていたかもしれない小児心室細動の2症例
Keywords:心室細動, 術後冠動脈狭窄, 肥大型心筋症
【緒言】小児の心室細動(VF)は基礎疾患に随伴することが多い。当院で、肥大型心筋症によるVF症例と術後冠虚血によるVF症例を経験した。これら2症例はVFを未然に予防できていた可能性があったため考察した。
【症例】症例1は8歳男児。小学校1年の学校心電図検診で左室肥大を指摘され、肥大型心筋症の可能性を疑われていたが運動制限は設けず、親の認識も甘かったため、定期外来に受診しないことがあった。しかし、発症日の午前に学校廊下で倒れているところを発見され、AEDでVFに対する除細動を施行後、心拍再開の上で搬送入院となった。精査で肥大型心筋症によるVFと診断し、植え込み型除細動器の留置、β遮断薬と厳格な運動制限で管理し後遺症なく退院した。症例2は2か月男児。完全大血管転位に対して日齢7に大血管スイッチ術を施行され退院したが、3日後に突如の心肺停止となった。救急隊によるAEDでVFに対し除細動が行われ、心拍再開後に搬送された。精査で高度の左冠動脈狭窄を認め、左室心筋虚血によるVFと診断し、左冠動脈形成術を施行されたうえで不整脈の再燃や後遺症なく退院した。
【考察】小児のCPAは成人に比し蘇生率や転帰が不良であるが、自験例ではbystander CPRと迅速な除細動を施行されたため後遺症は認めなかった。症例1は事前に肥大型心筋症を疑われており、十分な説明の上で運動制限を厳格に設けていれば発症を回避できた可能性がある。症例2については、術後経過中に不整脈を認めなかったが、原因不明の高CK血症の既往があった。薬剤性横紋筋融解症を疑い対応されていたが、冠動脈移植後の症例であったため、冠虚血を疑い詳細な冠動脈の評価を実施していれば回避できた可能性がある。特殊な小児心疾患では、VFの可能性を考慮したフォローが重要なことがある。
【症例】症例1は8歳男児。小学校1年の学校心電図検診で左室肥大を指摘され、肥大型心筋症の可能性を疑われていたが運動制限は設けず、親の認識も甘かったため、定期外来に受診しないことがあった。しかし、発症日の午前に学校廊下で倒れているところを発見され、AEDでVFに対する除細動を施行後、心拍再開の上で搬送入院となった。精査で肥大型心筋症によるVFと診断し、植え込み型除細動器の留置、β遮断薬と厳格な運動制限で管理し後遺症なく退院した。症例2は2か月男児。完全大血管転位に対して日齢7に大血管スイッチ術を施行され退院したが、3日後に突如の心肺停止となった。救急隊によるAEDでVFに対し除細動が行われ、心拍再開後に搬送された。精査で高度の左冠動脈狭窄を認め、左室心筋虚血によるVFと診断し、左冠動脈形成術を施行されたうえで不整脈の再燃や後遺症なく退院した。
【考察】小児のCPAは成人に比し蘇生率や転帰が不良であるが、自験例ではbystander CPRと迅速な除細動を施行されたため後遺症は認めなかった。症例1は事前に肥大型心筋症を疑われており、十分な説明の上で運動制限を厳格に設けていれば発症を回避できた可能性がある。症例2については、術後経過中に不整脈を認めなかったが、原因不明の高CK血症の既往があった。薬剤性横紋筋融解症を疑い対応されていたが、冠動脈移植後の症例であったため、冠虚血を疑い詳細な冠動脈の評価を実施していれば回避できた可能性がある。特殊な小児心疾患では、VFの可能性を考慮したフォローが重要なことがある。