[P21-02] 臥位エルゴメーター運動負荷心エコーを用いたFontan循環の心予備能評価
Keywords:運動負荷心エコー, フォンタン, 運動耐容能
【背景】近年小児領域でも潜在的心収縮拡張障害の検出において運動負荷心エコーの有用性の報告が散見されるが,Fontan術後では運動負荷中にどのような壁運動や血行動態の変化が生じて,心予備能に影響するかについてはほとんど知られていない.【目的】Fontan術後患者と健常児の運動負荷心エコーにおける心機能変化を検討すること。【方法】Fontan術後患者(F群)25例(年齢10-24,中央値13歳,男13, HLHS4,PAIVS4,TA/TS5,DORV6,他6)と,健常コントロール (N群)19例(年齢8-24、中央値13歳,男13)に運動負荷心エコーを行った.ロード社製臥位エルゴメーターで3分毎に20W増加するBruceプロトコルで負荷し,GE社製vividE9で心室のFAC,E,s’,e’,GLS(global longitudinal strain),strain rate(SR)を安静時(rest)と最大心拍数時(peak)で計測した.またF群は運動負荷心エコーの前後6ヶ月以内に心肺運動負荷試験(CPX)を行った.【結果】総運動時間はF群11:57±3:22,N群14:27±4:55(P=0.11)と差はなかったが,F群において心拍応答の低下を認めた.また各心機能指標はF群,N群ともにpeak値は上昇したが、その予備能(増加Δ)は、すべてにおいてF群の方が優位に低値であった.(F群vsN群:ΔE(cm/s)31.5±10.5vs47.8±27.3,Δe’(cm/s)3.55±2.39vs 7.3±1.9,Δs’(cm/s)2.3±1.4vs5.1±2.8,ΔFAC0.04±0.038vs0.047±0.1,ΔGLS(%)3.05±2.34vs5.64±2.42,Δsystolic SR(%/s)0.39±0.21vs0.98±0.25,Δdiastolic SR(%/s) 0.88±0.64vs1.37±0.67(いずれもp<0.0001-p<0.05)) F群においてCPXで得られたpeakVO2と運動負荷エコーのpeak時の指標や予備能との相関を認めなかった.【結論】Fontan術後の運動負荷心エコーでは健常児同様に各心機能指標の増加がみられたが,予備能は健常児より低い.Fontan術後患者の心予備能低下が早期に検出でき,運動耐容能や合併症発症など予後との関係が明らかとなれば,術後フォローアップの新たな指標として有用な知見となる.