[P21-03] 成人先天性心疾患患者の死因に関する検討
Keywords:成人先天性心疾患, 不整脈, 感染性心内膜炎
【はじめに】先天性心疾患の診療成績は向上し、成人期に達する症例が増加してきている。一方で若年で死亡する症例も存在する。現在の医療水準で死亡に至る症例の死因等については絶えず評価が必要である。【目的】当院成人先天性心疾患(ACHD)患者の死亡原因を検討し、予防対策等について検討を行うこと。【対象・方法】当院成人先天性心疾患データベースに登録のある2005年以降に受診歴のある症例667例中、死亡転記となった12例。診療録を後方視的に検討した。死亡時年齢、死亡場所(院内・院外)、死因、最終受診、通院状況等について検討を行った。【結果】死亡症例は男7例、女5例。死亡時年齢は中央値30歳(17歳-52歳)。院外死亡4例。院外死亡4例中2例(ファロー四徴・肺動脈欠損術後、心室中隔欠損・肺動脈閉鎖Rastelli術後)は外来受診を怠りがちであり、死亡前に非持続性心室頻拍(各5連発、3連発)がHolter心電図で検出されていた。紹介元施設受診を含め、治療強化や頻回の外来受診を指示されていたが、受診していなかった。院内死亡8例中4例は感染が関与していた。2例は感染性心内膜炎が抗菌剤でコントロールしきれず、やむを得ず手術を施行し、不幸な転記となった。他は脳膿瘍、敗血症性ショックであった。予定手術後の死亡は2症例認めた。当院初診日に死亡した症例も2例認めた。【考察】院外死亡症例のうち不整脈が検出されていた症例は活動強度が高く、外来通院状況がやや不良な症例であった。ファロー四徴型の成人例であり、小児期からの生活指導や将来的な心室性不整脈への注意喚起をより行うべきであった可能性がある。成人症例に対してどこまで通院管理すべきかは課題である。また当院初診で死亡した症例も2症例あり、ACHDについての地域へ啓蒙を行い、事前から専門施設で管理することが今後より必要と考えられる。感染を起因とした死亡症例は多く、残存病変のある症例には十分な注意喚起が必要である。