第54回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

ポスターセッション

成人先天性心疾患

ポスターセッション21(P21)
成人先天性心疾患 1

2018年7月5日(木) 18:00 〜 19:00 ポスター会場 (311+312+313+315)

座長:犬塚 亮(東京大学 小児科)

[P21-04] 当院小児科に通院する成人先天性心疾患患者の服薬状況と薬効理解

梶濱 あや, 島田 空知, 中右 弘一, 東 寛 (旭川医科大学 小児科)

キーワード:成人先天性心疾患, 内服アドヒアランス, 薬効理解

【背景】治療の発展に伴い成人先天性心疾患(ACHD)患者数は増加し続けているが、患者自身の病態理解と自立が乏しいことが問題となっている。服薬は自主的な管理が求められるため、成人期に至る患者は自身がその内容を理解する必要がある。【目的】当院に通院中のACHD患者における服薬の状況、内服治療に対する理解、および薬剤に関する知識を確認し、今後の教育に必要な問題点を明らかにする。【対象】2017年7月~12月に当院および関連病院の小児科心外来を受診した、高校生以上の心疾患患者。発達障害を合併する患者は除外した。【方法】自己記入式質問票を用いて、病態病名の理解度、内服状況、薬効や副作用の知識・通院アドヒアランスについて調査し、診療録上の情報と合わせて検討した。【結果】回答は76名(有効回収率98%)から得た。男性/女性 38/38名、年齢15歳~44歳(平均値21.3歳、中央値19.5歳)、NIHA分類 1/2/3/4度53/21/2/0人。心疾患に対する定期内服薬は、あり群:なし群=36名(48%):40名(52%)であり、病名の正答率はあり群:なし群=56%:61%で差は認めなかった。怠薬については、なし12名(33%)、週1回以下14名(39%)であったが、約1/3の患者は半分以上内服していなかった。薬効は、利尿剤、抗凝固剤については内服患者ほぼ全員が正答したが、アンギオテンシン変換酵素阻害薬については(内服者18名)、心保護と正答した患者は4名(22%)にすぎず、22%は無回答、55%は降圧と回答した。薬剤の副作用については48%がまったく知らなかった。【考察】通院はドロップアウトすることなく続けていても、内服治療に対するアドヒアランスは低かった。とくに薬効については、直接的な作用に関しての知識に限られ、どのような治療目的で内服しているかについて理解が乏しかった。患者自身の病態理解不足が受身的な内服態度につながっていると考えられ、病態に基づく内服意義についての教育が重要である。