The 54th Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

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ポスターセッション

周産期・心疾患合併妊婦

ポスターセッション23(P23)
周産期・心疾患合併妊婦 2

Fri. Jul 6, 2018 6:00 PM - 7:00 PM ポスター会場 (311+312+313+315)

座長:上野 健太郎(鹿児島大学病院 小児診療センター)

[P23-01] 全国の新生児ループス児を有する母親を対象にしたプレコンセプションケア相談および遠隔診療を用いた医師主導臨床試験

横川 直人1, 三浦 大2, 住友 直文2, 澁谷 和彦2, 堀米 仁志3, 前野 泰樹4 (1.東京都立多摩総合医療センター リウマチ膠原病科, 2.東京都立小児総合医療センター, 3.筑波大学小児科, 4.久留米大学小児科)

Keywords:プレコンセプションケア, 医師主導臨床試験, ヒドロキシクロロキン

抗SS-A抗体は健康な人でも約1%に認める抗体で、約1-2%の妊娠で児の房室ブロックを発症する。そのため妊娠中に胎児徐脈が判明し初めて抗SS-A抗体陽性が判明することも多い。前児で房室ブロックを経験した抗SS-A抗体陽性の母親は次の妊娠で房室ブロックを再発する危険が10倍(15-18%)となる。そのため次の妊娠について悩んでいる母親は少なくない。その予防に、海外では全身性エリテイマトーデスの治療薬であるヒドロキシクロロキン(HCQ)の有効性が示唆されており、米国で2011年より実施されていた臨床試験(PATCH)の結果が期待されている。日本では妊娠中の薬剤の適応外使用は難しいのが実情であり、未承認薬適応外薬等検討会議を通じて適応拡大を検討すべきである。我々は米国の研究グループの協力を得て、医師主導臨床試験(J-PATCH)を2016年の秋より開始した(UMIN 000028979)。前児で心病変を合併した抗SS-A抗体陽性母親のその後妊娠で妊娠10週までにHCQ400mg/日の投与を行う。主要評価は房室ブロック(II or III度)の合併率である。4年間で全国から20例の組み入れを目標に、研究責任者自身が患者を併診しかかりつけのリウマチ膠原病医、小児循環器医、産科医と連携しながら試験薬を投与する。本治療を希望する全国の妊婦で妊娠10週までに組み入れを可能とするために、初診は受診以外に往診も可能とし、再診はオンライン診療システムを用いた遠隔診療で行う。さらに臨床試験とは別に、将来の妊娠・出産で悩む母親のプレコンセプションケア相談窓口(当科ホームページ参照)を設けている。プレコンセプションケアはCDCやWHOも推進しているが、情報の少ない稀少疾患では専門家が直接対応すべきである。本発表では新生児ループス再発予防プロジェクトとして、プレコンセプションケアの事例と遠隔診療を用いた臨床試験の進捗について紹介する。(文科省科学研究費 H28-32)