第54回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

ポスターセッション

周産期・心疾患合併妊婦

ポスターセッション23(P23)
周産期・心疾患合併妊婦 2

2018年7月6日(金) 18:00 〜 19:00 ポスター会場 (311+312+313+315)

座長:上野 健太郎(鹿児島大学病院 小児診療センター)

[P23-07] 機能的肺動脈閉鎖を来した心奇形のない在胎22週出生の生存例

岡 俊太郎, 大島 あゆみ, 岩本 洋一, 金井 雅代, 石黒 秋生, 松村 峻, 石戸 博隆, 先崎 秀明, 増谷 聡 (埼玉医科大学総合医療センター 小児科)

キーワード:機能的肺動脈閉鎖, 超低出生体重児, 超早産児

【背景】 機能的肺動脈閉鎖は、正常構造の肺動脈弁が右室収縮に際し解放しない病態を指す。本病態はEbstein奇形等に合併しない発生はきわめて稀であり、かつ新生児領域で必ずしも認識されていない。成育限界とされる在胎22週児に発生した本病態の診断・治療・経過を報告する。
【症例】 前期破水・子宮内感染の疑いのため、在胎22週1日、緊急帝王切開で出生、582g、女児、Ap 4-6-6。気管挿管、サーファクタント投与後も最大条件下でSpO2は80%中盤までしか上昇せず、心エコーを施行した。先天性心疾患は認めず、超早産児の出生直後として正常範囲内の右心軽度拡大を認めた。TRが中等度存在し、TRPGは27mmHgであった(体血圧30mmHg)。動脈管は開存して二峰性の左右短絡血流(最大92cm/s)、主肺動脈血流は動脈管血流からやや遅れて折り返す二峰性血流を示した(最大55cm/s)。肺動脈弁は5mmと十分な径で肥厚やdomingは認めなかったが、解放せず、右室流出路からの順行性血流も認めなかった。ごく少量の肺動脈弁逆流を認めた。NO吸入が酸素化維持に奏功した。日齢1に動脈管が狭小化して酸素化が悪化(SpO2 75-78%、FiO2:0.5)し、アシドーシスを認めた。依然右室からの順行性血流は認められず、lipo PGE1を開始、容量負荷・メイロン補正を施行して安定を得た。日齢2に右室から肺動脈へ全く狭窄のない血流が観察され、機能的肺動脈閉鎖とその改善を確定診断し、lipo PGE1、NOともに終了した。以降再燃を認めなかった。
【結論】 正常心臓の超早産児にも機能的肺動脈閉鎖がある。器質的閉鎖・狭窄との鑑別は容易でないが、機能的閉鎖の病態を認識し、病態解消後は速やかにlipo PGE1を中止することが重要と考えられる。