[P25-05] HACEK群による感染性心内膜炎を来したRastelli手術後TGA(3)の一例
Keywords:感染性心内膜炎, HACEK, Cardiobacterium Hominis
【緒言】感染性心内膜炎(IE)の起炎菌として、HACEK(Haemophilus species, Aggergatibacter species, Cardiobacterium Hominis, Eikenella corrodens, Kingella species)が知られているが、頻度は1%と稀である。Cardiobacterium Hominisは口腔咽頭内の常在菌である嫌気性のグラム陰性桿菌で、弱毒性で成長が遅いのが特徴で血液培陰性となることがあり、発熱や炎症反応が軽微で診断が困難になる場合がある。【症例】 10歳女児、TGA(3)の診断で生後2カ月児にLt BT shunt手術、2歳時にRastelli手術(graft 16mm)施行した。その後Rastelli conduit部位の狭窄(圧格差 83mmHg)に対し手術予定であった。入院2か月前よりFocus不明の37-38℃前半の微熱を繰り返していた。近医で血液培養よりGram陰性桿菌検出、IEを疑いその後入院加療となった。心不全の悪化はなく、塞栓症状も認めなかった。Rastelli conduit, valve, VSD residual leakには疣贅付着は認めないものの、血液培養6セットからGram陰性桿菌陽性、遺伝子検査でCardiobacterium Hominisが検出された。6週間の抗生物質治療ののち、Rastelli手術(20mm Yamagishi conduit)を施行。術後経過良好、人工導管の細菌培養は陰性、その後は発熱等なく経過している。【考察】 小児では、右心系感染性が多いため塞栓症状が明らかでないことが多く、古典的皮膚症状もまれであるとされている。本症例は加えて、微熱症状のみで全身状態が良好であったこと、血液培養検査陽性まで時間がかかったことが診断に苦慮した原因であった。