The 54th Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

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ポスターセッション

肺循環・肺高血圧・呼吸器疾患

ポスターセッション27(P27)
肺循環・肺高血圧・呼吸器疾患 2

Fri. Jul 6, 2018 6:00 PM - 7:00 PM ポスター会場 (311+312+313+315)

座長:上野 倫彦(日鋼記念病院 小児科)

[P27-04] 高流量鼻カニュラ酸素療法によって在宅管理のまま脳死両肺移植に到達できた遺伝性出血性毛細血管拡張症に伴うびまん性肺動静脈瘻の1例

倉石 建治, 野村 羊示, 太田 宇哉, 西原 栄起 (大垣市民病院 小児循環器新生児科)

Keywords:脳死肺移植, 遺伝性出血性毛細血管拡張症, びまん性肺動静脈瘻

【背景】びまん性肺動静脈瘻はコイル塞栓等が無効のことがあり、過去5例の肺移植成功の報告がある。我々は、高流量鼻カニュラ酸素療法(HFNC)を用いることで登録981日後の両側脳死肺移植成功まで在宅管理ができた、遺伝性出血性毛細血管拡張症に伴うびまん性肺動静脈瘻の1例を経験した。【症例】移植時13歳11ヶ月の男性。9歳、後頭部を打撲し他院に入院した際SpO2=80%台で、胸部造影CTによりびまん性肺動静脈瘻と診断され当科を受診した。父に孤立性肺動静脈瘻、祖父にも肺動静脈瘻があり、弟にも孤立性肺動静脈瘻が判明した。初診時SpO2=80%、ばち指あり、6分間歩行距離は370mであった。脳に5つ以上の血管奇形を認めた。心臓カテーテル検査を行い、比較的大きな肺動静脈瘻を塞栓したが無効であった。10歳3ヶ月時SpO2=70%と低酸素血症の進行が早く、労作時息切れが悪化し、京都大学病院で適応判定後、11歳3ヶ月時に日本臓器移植ネットワークに登録された。当時睡眠中や外出時酸素吸入が不可欠であった。12歳9ヶ月時数歩しか歩行不能となり、食欲低下も明らかとなった。その後マスク酸素7L/分の吸入でも睡眠障害を生じ、13歳8ヶ月時に睡眠中の高流量鼻カニュラ酸素療法(HFNC)を在宅で導入した。フィリップス社製BiPAP A40を用い、PEEP5cmH2Oとし、100%酸素14L/分でFiO2=70%が得られ、7Lの酸素濃縮器を2台使用した。これにより睡眠障害は改善し、入院を回避でき、移植まで登校も可能であった。ドナー右下葉切除両肺移植後は酸素不要となり、術後3ヶ月時筋力未回復だが6分間歩行距離は429mとなった。【考察】脳死肺移植は現在、平均待機期間が約900日ある。長い待機期間は致命的となる一方、待機中できる限り患者の希望に沿った生活を可能にすることも大切である。在宅での高濃度高流量酸素投与には限界があるが、睡眠中のHFNC導入により待機中の在宅管理が可能であった。今後の移植待機期間の短縮が切望される。