[P27-05] 肺高血圧を合併したDiffuse Neonatal Hemangiomatosisの1例
キーワード:肺高血圧症, 門脈体循環シャント, 血管腫
【背景】Diffuse Neonatal Hemangiomatosis(以下DNH)は、複数の臓器に血管腫を認める疾患であるが、特に高拍出性心不全や肺高血圧合併例では予後不良の転帰となることが多い。近年本症に対するプロプラノールの有効性が報告されているが、我々は気道狭窄、肺高血圧を合併し集中治療を要した重症DNH症例を経験したので報告する。【症例】1か月男児。在胎38週3日、体重3040gで出生し、生後2週間頃より全身に多数の血管腫が出現した。その後血便、吸気性喘鳴を認め日齢31に当院紹介となった。画像検査により小脳、声門下、気管、肺、肝臓、脾臓、膵臓、直腸、精巣に血管腫を認めDNHと診断したが肝臓には血管腫が多発し、門脈肝静脈シャントを認めた。日齢45に心エコーにて著明な右心系拡大と三尖弁閉鎖不全を認め、推定右室圧約90mmHgの重度肺高血圧を合併する心不全と診断した。日齢47に呼吸不全となり集中治療管理を開始しプロプラノール、プレドニゾロン、ビンクリスチンなどの併用により肝臓を含む各臓器の血管腫は徐々に縮小傾向を示し、肺高血圧を含む全身状態の改善を認めた。抜管後の呼吸障害の再燃は認めず、急性期治療離脱後プロプラノールを継続し経過観察中である。【考察】DNHは特に心血管合併症では予後不良の場合が多いが、肺高血圧を認めた門脈肝静脈シャント合併例などに対するプロプラノロールの有効性が報告され、本症例を含めたさらなる症例の検討が必要であると考えられた。