[P28-06] 胎児診断した右肺無形成症例の臨床像
Keywords:肺無形成, lung agenesis, 気管狭窄
【背景】(片側性)肺無形成は稀な先天奇形であり、片側の肺組織・血管・気道の欠如で特徴づけられる。出生後の画像診断は比較的容易であるが、胎児期には心縦隔偏位の所見が主であり、他疾患との鑑別を要する。また、左肺無形成と比べ右肺無形成はScimiter症候群をはじめとした心血管奇形、気道合併症が多いことなどから予後不良と報告されている。【目的】胎児診断した右肺無形成症例の胎児期画像所見および出生後の臨床像を報告する。【症例】自然妊娠。妊娠18週の胎児エコーで心臓逆位が疑われ当院紹介。心内奇形はなく、右側胸腔には小さい肺組織と偏位した心臓が存在した。主肺動脈と左肺動脈は描出されるが右肺動脈が描出されず、右肺無形成が強く疑われた。在胎39週1日、2810gで仮死なく出生。エコー上の心内奇形はなく、造影CTで右肺無形成、PA slingにより右肺動脈と大動脈によって気管は挟まれ、軽症大動脈縮窄症を伴っていた。安静時の呼吸障害は軽度で、当初は呼吸サポートなしで管理できていた。乳児期よりdying spell、呼吸器感染による呼吸不全を繰り返し、気管支鏡検査で気管狭窄症と診断され、1歳4か月時に他医でスライド気管形成術、大動脈吊り上げ術を施行された。その後、窒息から心肺停止を来し、その後は気道確保のため気管切開状態で管理している。成長発達は正常。【考察】胎児エコースクリーニングで心位置異常がみられた症例では、単純に心臓の位置の異常の場合と、心外病変(肺低・無形成、横隔膜ヘルニア、嚢胞性肺疾患など)による心臓の偏位の可能性がある。そのうち片側性肺無形成は稀ではあるが、大血管・気道の圧排や他臓器合併症を認めることがあり、胎児診断は重要である。エコーやMRIを用いて、左右の肺動脈の有無、左右肺形態を見ることで診断が得られる。片側性肺無形成の胎児診断につき、文献的考察を踏まえ報告する。