第54回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

ポスターセッション

胎児心臓病学

ポスターセッション28(P28)
胎児心臓病学 2

2018年7月6日(金) 18:00 〜 19:00 ポスター会場 (311+312+313+315)

座長:前野 泰樹(聖マリア病院 新生児科)

[P28-07] 自宅での胎児超音波ドプラ心音計を使用した抗SSA抗体陽性母体妊娠管理

前野 泰樹1, 寺町 陽三1,2, 前田 靖人1, 鍵山 慶之1, 籠手田 雄介1, 岸本 慎太郎1, 須田 憲治1 (1.久留米大学 医学部 小児科, 2.聖マリア病院 新生児科)

キーワード:胎児徐脈, 胎児房室ブロック, 母体抗SSA抗体

抗SSA抗体陽性母体では約2%に胎児の房室ブロックをきし、前児発症時の再発率は17%程度にまで上昇する。発症早期のフッ化ステロイド経母体的投与による胎児治療有効例も報告されており、在胎18週から1~2週毎胎児心エコーによる1度房室ブロックの検出が推奨されている。しかし実際には房室ブロックの発症は急激で1度での検出は困難で、有効な早期発見法がなかった。今回、市販の「胎児超音波ドプラ心音計」による自宅での胎児心拍確認による抗SSA抗体陽性母体管理を試みたため、実行性について報告する。【方法】抗SSA抗体陽性妊婦2例に、ネット販売されている「胎児超音波ドプラ心音計」にて2週毎の胎児心エコーの間も連日胎児心拍を確認する方法を説明。2例ともに家族と相談の後、実際に購入(8,100円)された。【結果】症例1:前児房室ブロックの症例。今回在胎13週よりヒドロキシクロロキンの予防内服を開始。在胎18週に自宅での胎児心音確認を開始した。最初の頃は胎児心音を出にくく不安を感じたが、1週間ほどで慣れて容易に確認できるようになり安心感を得られるとの感想であった。現在在胎31週で房室ブロックは発症していない。症例2:母体はSLE腎症があり、うつ病の傾向があったが、産科医と相談の後、在胎17週時に自宅での胎児心音確認について紹介。在胎19週再来時には購入されており、胎児心拍は容易に確認できるとのことで、心音を聞くことで安心できるとの感想であった。現在在胎22週の時点で房室ブロックは認めない。【結語】自宅での「胎児超音波ドプラ心音計」でのモニターを選択する家族がおり、在胎18週でもモニターが可能で、すぐに提示できうる方法と考えられた。早期治療に向けての有効性評価は今後の症例集積が必要だが、この2例の限られた経験では母体の安心感が得られるという効果が得られた。