[P29-02] 出生時から両心室の高度な心筋肥厚がみられたNoonan症候群の一例
キーワード:Noonan症候群, 肥大型心筋症, 左心低形成症候群
【はじめに】Noonan症候群では先天性心疾患と肥大型心筋症(HCM)の合併が知られているがHCM合併例の予後は不良である。出生時から両心室の高度な心筋肥厚を合併し、身体所見からNoonan症候群と診断した一例を報告する。【症例】日齢0の男児。胎児期に異常は指摘されていなかった。在胎35週5日、近位で経腟分娩で出生した。出生体重3170g。Apgar score 6–8。出生後、呼吸障害を認め前医NICUに入院した。大動脈弓低形成を伴う複合型心疾患の加療目的で当院へ転院。転院時SpO2 80%台と低酸素血症を認めた。翼状頚、眼間開離、停留精巣、耳介低位を認めNoonan症候群と診断した。心臓超音波検査では両心室の著明な心筋肥厚(心室中隔厚12.7mm)、左室流出路狭窄(最少径:2.9mm, 最大血流速度:3.4m/s)を認め、心房中隔欠損、心室中隔欠損、両大血管右室起始、大動脈縮窄(2.0mm)を合併していた。左心低形成症候群亜型と診断しLipo–PGE1の投与を開始した。両心室の著明な心筋肥厚に伴うコンプライアンスの低下から心不全が進行し、各種治療によっても循環を維持することが困難になった。予後の厳しさを両親に説明したところ、人工呼吸管理を含む積極的治療は希望されず緩和ケアに移行し、日齢2に永眠した。Noonan症候群の既知の原因遺伝子変異は同定されなかった。【考察】Noonan症候群とHCMの合併報告例は散見されるが、検索した範囲で出生時から重度の両心室の高度な心筋肥厚を合併した症例の報告はない。今回既知の原因遺伝子は同定されず、現在更なる遺伝子解析を行っている。