[P29-04] 左室瘤を合併したマルファン症候群の一例
Keywords:マルファン症候群, 左室憩室, 左室瘤
【背景】マルファン症候群(MFS)では,弾性線維の形成障害のため心血管系においては主に大動脈・肺動脈の弁輪拡大や動脈瘤形成,房室弁の粘液変性を来すことが知られている。その他末梢動脈や冠動脈病変の報告は散見されるが,心室憩室や心室瘤を合併した報告は少ない。今回我々は,マルファン症候群に左室瘤が形成された1例を経験したので報告する。
【症例】15歳男子。4か月時にくも状指と特異的顔貌を契機に精査され,僧帽弁逆流及び大動脈基部拡大,水晶体偏位を認めた。遺伝子学的検査にてFBN1遺伝子(exon24)変異を認め,(新生児)マルファン症候群と診断された。3歳時に増悪した僧帽弁逆流に対して僧帽弁置換術が施行された。このときの術前心臓カテーテル検査で左室心尖部に心周期と同期する小さな左室憩室を認めていた。その後,進行性に大動脈基部の拡大も進行したため14歳時にBentall術が予定されたが,術前心臓カテーテル検査で心周期とparadoxicalに動く大きな左室瘤に変貌していた。Bentall+Dor手術が施行され,現在は外来経過観察中である。
【考察】一般的には左室憩室は先天性であり,左室瘤は冠動脈病変や心筋炎,手術や外傷などを原因として二次的に生じる。臨床的には画像検査における左室収縮との同期性により両者は鑑別され,組織学的にも別のものとされているが,本症例では10年程度の経過観察の中で心室憩室が心室瘤へ進展したと考えられる所見を認めた。心室瘤に至った明らかな臨床経過や検査所見はなく,瘤化の原因は不明である。
【結語】マルファン症候群に認められた左室憩室が,左室瘤へ進展した1例を経験した。マルファン症候群に心室憩室を伴う場合には,心室瘤へ進展する可能性があり慎重な経過観察が必要かもしれない。
【症例】15歳男子。4か月時にくも状指と特異的顔貌を契機に精査され,僧帽弁逆流及び大動脈基部拡大,水晶体偏位を認めた。遺伝子学的検査にてFBN1遺伝子(exon24)変異を認め,(新生児)マルファン症候群と診断された。3歳時に増悪した僧帽弁逆流に対して僧帽弁置換術が施行された。このときの術前心臓カテーテル検査で左室心尖部に心周期と同期する小さな左室憩室を認めていた。その後,進行性に大動脈基部の拡大も進行したため14歳時にBentall術が予定されたが,術前心臓カテーテル検査で心周期とparadoxicalに動く大きな左室瘤に変貌していた。Bentall+Dor手術が施行され,現在は外来経過観察中である。
【考察】一般的には左室憩室は先天性であり,左室瘤は冠動脈病変や心筋炎,手術や外傷などを原因として二次的に生じる。臨床的には画像検査における左室収縮との同期性により両者は鑑別され,組織学的にも別のものとされているが,本症例では10年程度の経過観察の中で心室憩室が心室瘤へ進展したと考えられる所見を認めた。心室瘤に至った明らかな臨床経過や検査所見はなく,瘤化の原因は不明である。
【結語】マルファン症候群に認められた左室憩室が,左室瘤へ進展した1例を経験した。マルファン症候群に心室憩室を伴う場合には,心室瘤へ進展する可能性があり慎重な経過観察が必要かもしれない。