[P30-01] 動脈管の成長する可能性についてー自験例17例の検討からー
キーワード:動脈管開存症, silent PDA, 自然経過
【背景】動脈管の成長の可能性が言われている。【目的】2003年以降の15年間に当院で診断した動脈管開存症(PDA)17例について報告し、動脈管の成長の可能性について検討した。ほとんどの症例が当院出生である。【方法】診断は心臓超音波検査により行い、生後1ヵ月を過ぎたPDAにつき初診の契機、経過、転帰をまとめた。未熟児動脈管および動脈管依存性心疾患は除外した。【結果】心雑音のための初診は13例であった。単独のPDAは14例、他の左右短絡のある心疾患に合併したPDAが5例であった。心室中隔欠損自然閉鎖後や不完全型房室中隔欠損術後の経過観察中に確認したPDAが各々1例ずつあり、重複している。単独のPDAのうち大きいPDAは3例、中等度PDA は1例、小さいPDAは10例であった。小さいPDAのうちsilent PDAは5例であった。治療は動脈管結紮術4例、コイル塞栓術5例、ADO 2例であった。 さらに初診時期を早期新生児期と乳児期以降に分けて検討した。早期新生児期に初診となった症例は8例あり、閉鎖と思われた後に再びPDAを確認した症例がうち5例、silent PDAはうち4例であった。一方、幼児期に初めて心雑音に気づかれ初診となった症例が2例あった。【考察】幼児期に初診となる症例があり、また成人期に初めて診断される症例の報告もある。幼児期に当院に初診となった症例は心雑音のためであるが、成人の場合は心雑音や感染性心内膜炎が契機となっている。こういった症例は新生児期や乳児期早期には臨床上目立たなかったものが幼児期以降に成長して明らかになった可能性を考えた。【結論】ガイドラインにも記載されているように動脈管は成長することがあると思われる。