第54回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

ポスターセッション

一般心臓病学

ポスターセッション30(P30)
一般心臓病学

2018年7月6日(金) 18:00 〜 19:00 ポスター会場 (311+312+313+315)

座長:平田 陽一郎(東京大学医学部附属病院 小児科)

[P30-02] 新生児期から乳児期の軽症肺動脈弁狭窄の自然経過~新生児期に予測可能か?~

三井 さやか1, 岸本 泰明1, 福見 大地1, 羽田野 爲夫2 (1.名古屋第一赤十字病院 小児循環器科, 2.愛知県三河青い鳥医療療育センター)

キーワード:肺動脈弁狭窄, 乳児期, 肺動脈弁異形成

【背景と目的】肺高血圧が残存する新生児期に心雑音や肺動脈弁通過血流速度(Vp)から軽症肺動脈弁狭窄(vPS)を疑うのは難しく、新生児期からの自然経過の報告は少ない。自施設での経験を検討した。【方法】2009年1月~2017年12月に当院で出生し退院時のスクリーニング心エコーでvPSを指摘されず、その後vPSと診断された児19名(group A)と退院時vPSを指摘された児19名(group B)を後方視的に検討した。心雑音、肺動脈弁異形成、Vp≧2m/sのいずれかを認めるものをvPSと定義した。【結果】groupA,Bで男女比(6:13 vs 4:15)、vPS診断時Vp(2.02 vs 1.85、m/s)に差はなかった(p=0.19)。PFO合併率(12/19 vs 8/19)、PFO径(3.42 vs 2.30、mm)も差はなく、Aの2例ではPFOは残ったがVpは正常化しPFOによる相対的PSは否定的であった。在胎週数(38 vs 33)、出生体重(2776 vs 1914、g)は有意に Aで高値だった(p<0.05)。vPS診断時 (3.7 vs 1.0,月齢)、肺動脈弁輪径(86 vs 88,%N)に差はなかったが異形成弁はBで多くみられた(6:13 vs 16:2,p<0.05)。VpはAで18例中14例(78%)、Bで18例中9例(50%)が正常化した。Bでは初診時Vpは、後にVpが正常化した群と非正常化群による差はなく(1.84 vs 1.81)、非正常化群で初診時Vp≦1.6m/s(1.05-1.6m/s)も4例(全例異形成)認めた。【結論】新生児期の肺動脈弁異形成は初診時Vpが速くなくてもvPS顕在化の予測因子となる。正期産で異形成のないvPSは体格と肺動脈弁輪の発育のバランスにより一時的に増悪しても軽快が見込まれる。