[P30-05] 当院で経験した一側肺動脈欠損の2 例
キーワード:先天性心疾患, 肺動脈欠損, 新生児
【緒言】一側肺動脈欠損(UPAA)の多くは心内奇形を合併するが、合併心奇形を認めない孤立性肺動脈欠損も稀に存在する。今回、当院で異なるUPAAの新生児症例2例を経験したので報告する。【症例1】在胎25週の胎児心エコーで総動脈幹症(A3)が疑われた。母体は35歳、3経妊1経産。2型糖尿病あり、妊娠判明前まで経口血糖降下剤内服。喫煙歴あり(30本/日)。在胎43週4日に出生した男児。出生体重3,684g、Apgar 6/8。NICU入院後の心エコー・造影CT検査でFallot四徴・左肺動脈欠損・動脈管開存・総肺静脈還流異常(心臓型)と診断。左肺動脈主枝は欠損、末梢側には動脈管が接合しておりPG製剤を開始。生後1か月時にBTシャント術、左肺動脈形成術、共通肺静脈・左房吻合術施行。現在根治手術待機中。【症例2】妊娠経過中の異常指摘なし。母体は39歳、1経妊0経産。喫煙歴あり(5本/日)。在胎39週3日に出生した女児。出生体重2,715g、Apgar 8/9。生後3時間に啼泣時のチアノーゼと経脾酸素飽和度の上下肢差を認めNICU入院。心エコー・造影CT検査で孤立性右肺動脈欠損と診断。利尿剤の内服、生理的肺高血圧の改善とともに多呼吸、酸素飽和度低下は改善。生後1か月時に心臓カテーテル検査施行。右肺動脈主枝は造影されず、上行大動脈から右肺への細い側副血行動脈を認めた。末梢肺動脈は造影されずシャント手術は不可能と判断。現在投薬無く無症状で外来フォロー中。【考案】UPAAは、発生学的報告から心内奇形合併例は左側に多く、孤立性は右側に多い。孤立性のUPAAは無症状で経過し、成人期に肺高血圧を合併し発見されることが多いため新生児期に本疾患を診断する意義は高いと思われる。