第54回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

ポスターセッション

集中治療・周術期管理

ポスターセッション31(P31)
集中治療・周術期管理 2

2018年7月6日(金) 18:00 〜 19:00 ポスター会場 (311+312+313+315)

座長:渋谷 和彦(東京都立小児総合医療センター 循環器科)

[P31-05] 肺動脈閉鎖兼正常心室中隔に対し,PGE1の長期投与を行った超低出生体重児の一例

宮本 辰樹 (福岡大学病院 小児科)

キーワード:超低出生体重児, 長期管理, 動脈管依存性心疾患

【背景】先天性心疾患を合併する超低出生体重児における心臓外科手術はリスクが高く,体重増加を待つ間の管理に難渋することが多い.今回,肺動脈閉鎖兼正常心室中隔を合併した超低出生体重児の一例を経験したので報告する.【症例】妊娠25週3日に前期破水及び胎児徐脈のため緊急帝王切開にて570gで出生.A病院NICUにて重症新生児仮死,呼吸窮迫症候群等で入院加療を受けた.当初心疾患には気付かれず,未熟児動脈管開存症の診断でインドメタシンを4クール投与されたが,動脈管は閉鎖に至らなかった.日齢41に未熟児網膜症の精査加療目的で当院NICUへ転院した.転院後の心エコー検査にて肺動脈閉鎖兼正常心室中隔,冠動脈右室瘻,卵円孔開存,動脈管開存と診断し,直ちにlipo-PGE1製剤の投与を開始した.その後全身管理を行い,体重増加を待った.外科治療目的で日齢194にB病院へ転院し,心臓カテーテル検査及びBASを施行され手術待機していたが,未熟児網膜症の増悪により日齢208に当院へ転院した.未熟児網膜症治療後,再度B病院へ日齢226に転院し,日齢231にセントラルシャント術を受けた.日齢245に当院へ転院し,在宅医療調整を行い,日齢に退院した.現在は外来にて心不全管理を行い,Glenn手術待機中である.【結語】肺動脈閉鎖兼正常心室中隔を合併した超低出生体重児の一例を経験した.PGE1製剤の長期投与によって姑息術が可能な状態となり,自宅退院できた.先天性心疾患を合併する超低出生体重児では,手術可能な体重まで成長するのに長期間必要であり,循環管理のみならず,人工呼吸管理,カテーテル管理,感染,PGE1製剤の副作用,神経学的合併症など,さまざまな問題が生じた.PGE1の長期投与に関する報告は少なく,貴重な症例であった.