[P32-01] EBウイルス感染と高IgE血症を伴い多量の心嚢液貯留を認めたものの一般小児科病棟での管理で対応できた心外膜炎の1例
キーワード:心外膜炎, 高IgE血症, EBウイルス
【背景】地方では小児科医師不足に伴い救急医療も集約されており高次病院との連携が不可欠である。【症例】5歳男児【主訴】咳嗽・喘鳴【既往歴】気管支喘息の診断で 1歳時より外来フォロー中。【現病歴】発熱を主訴に近医にて投薬を受け解熱したが咳嗽・喘鳴が遷延,翌日当科受診時,著明な心拡大を指摘され入院した。【入院時現症】HT:113.5cm BW:21.4kg BT:36.7℃ 心音・呼吸音に異常を認めず。腹部膨満なし。肝脾腫なし。頚部リンパ節腫脹なし。経口摂取は可能で尿量も保たれていた。結膜充血なし。軽度に咽頭発赤を認めたが,口唇発赤やいちご舌の所見なし。【検査データ】胸部Xp:CTR=78%,心電図:SR 120/min. 胸部誘導はやや低電位2DE:多量の心嚢液(PE)が認められたが心機能は保たれていた。【血液検査】AST 280U/L,ALT 312U/L ,r-GTP 18U/L,CK 130U/L,CK-Mb 3U/L,プロカルシトニン 0.04ng/mL, ,CRP 0.97mg/dl,IgE 5466.8U/mL,WBC11990/cmm, EBV抗VCA IgM+,便検査:虫卵- 【経過】心外膜炎・喘息発作と診断,一般状態は保たれていたため心嚢穿刺は急がず,高次病院と連携を取りつつプレドニゾロン・利尿剤・γ-グロブリン静注およびフルルビプロフェン,抗アレルギー剤内服で治療が開始され心不全症状の進行なくXp所見・肝機能障害も改善傾向を認めたため,プレドニゾロンは一旦減量中止されたが,その後再燃したためフルルビプロフェンをアスピリンに変更,プレドニゾロンを内服で再開したところ再びPEは減少し軽快した。プレドニゾロンはゆっくりと減量されたがPE再貯留傾向なく経過,IgE値も発症以前のレベルまで改善,退院後3ヶ月の時点で再燃を認めていない。本症例につき文献的考察を加えて報告する。