[P32-03] Intra Aortic Balloon Pumpingが有効だった急性心筋炎の12歳男児
Keywords:急性心筋炎, Intra Aortic Balloon Pumping, 補助循環
【はじめに】心機能が低下した小児の急性心筋炎では体外補助循環が必要になる場合がある。Intra Aortic Balloon Pumping (IABP)は小児での使用頻度は少ないが、ECMOやVADと比べて低侵襲の体外補助循環である。IABPが有効だった小児の急性心筋炎の症例を報告する。【症例】12歳男児。嘔吐と食欲不振を主訴に近医を受診した。胃腸炎と診断も逸脱酵素の上昇があり、近隣総合病院を紹介受診した。脱水のため入院で補液治療を受けていたが、嘔吐、心窩部痛が持続した。心臓超音波検査で左室駆出率が約30%程度のため、心筋炎が疑われ当院へ転院した。転院時のLVEFは10.5%と著明に低下していた。DOA、DOB、MILを開始後、心機能はやや改善し、入院5時間後にIABP(バルーン長245mm、CS100)を導入した。バルーンの遠位端が腎動脈にかかるため、サポートは2:1とした。導入後、尿量が増加、血圧が安定した。心機能が改善傾向で、血圧、心拍数が落ち着いたため、導入から60時間後にIABPを抜去した。カテコラミン中止後も心機能は安定しており、転院33日目に退院とした。退院時のLVEFは65%と正常で、現在16歳だが心機能低下や不整脈はみられない。【考察】小児では乳幼児では挿入手技が煩雑で、高心拍数、血管augmentationの問題からIABPが使用される頻度は少ない。しかし、体格が十分な小児では、心筋炎などの可逆的と考えられる左心不全のみの病態ではIABPが選択肢となり得る。