[P32-04] 急速な経過をたどった高速型心筋症の乳児の1例
キーワード:拘束型心筋症, 心不全, 突然死
【背景】幼児期発症の拘束型心筋症は稀であり、予後不良である。【症例】在胎38週 3100g、骨盤位のため帝王切開術で出生。生後間もなくから網状皮斑や啼泣時の口唇チアノーゼを認めていたが精査されず、1ヶ月健診では体重増加良好で、頭囲拡大を指摘されるのみ。生後3ヶ月より嘔吐回数が増加し、増悪傾向のため約4ヶ月で近医受診しチアノーゼを認めたため当院へ夜間紹介となる。受診時vitalはHR 110bpm, RR 60/min, BP 97/61, SpO2 99%(上下肢差なし)、心エコーで構造異常なし、IVSd=3.59mm(93%), PWd=3.79mm(97%), LVDd=17.5mm(74%), LVEF=0.65、収縮末期の心室中隔は扁平、僧帽弁のE/A=0.518/0.614=0.844と左室の拡張障害と肺高血圧の所見を認め、心電図で完全右脚ブロックを認めた。血液検査で代謝性アシドーシスと心筋逸脱酵素の上昇、BNP、hANPの上昇を認めた。炭酸水素ナトリウムで補正行い、WQ=100-120(哺乳合わせて)管理とし、フロセミド・スピロノラクトン 1mg/kg/day内服開始した。同日夜間は哺乳意欲ありvital安定していたが、翌日朝方より皮膚色増悪ありHR 60bpm台の徐脈とSpO2 70%台へ低下ありマンシェットで血圧測定不能となり、挿管管理となる。その後も徐脈進行し胸骨圧迫後に回復するエピソードあり、DOA/DOB=10γ/10γ使用下で高次病院へ転院、転院後数時間は安定していたが、徐脈・低血圧を認め胸骨圧迫を要しVTVF頻発。DC、蘇生繰り返し、ご両親より延命目的の蘇生希望されない意思確認、永眠。現在原因精査中。【考察】幼児期発症し急速な経過をたどった拘束型心筋症を経験した。体重増加良好であっても、網状皮斑など末梢循環不全を疑う所見がある場合は心筋症の初期症状の可能性があり精査を要する。