[P33-02] 川崎病診療におけるプレセプシンの有用性の検討
Keywords:プレセプシン, 川崎病, 臓器障害
【はじめに】プレセプシン(以下,P‐sep)はlipopolysaccharide受容体であるCD14が細菌感染などの刺激で切断の結果生じる低分子蛋白質で敗血症と臓器機能障害の早期診断マーカーとして有用性が評価されているが,川崎病診療における有用性を検討した論文はない.【目的】川崎病診療におけるP‐sepの動向を評価し,有用性を検討する.【方法】2017年2月から当院に入院した川崎病患者34例63検体を対象に臨床背景とP‐sepの動向について、P‐sepと同時測定された白血球,好中球(%),CRP,血沈,血小板,GOT,GPT,T‐bil,LDH,Na,Alb,川崎病リスクスコアとの関係をピアソンの相関係数を用いて解析した.またIVIG反応群と不応群,IVIG治療前後でMann-Whitney U検定を用いて比較検討した.【結果】対象の内訳はアスピリンに加えIVIG非投与が1例,単回投与が30例,複数回投与が3例,うち1例にインフリキシマブ,2例にウリナスタチンを投与した.全例に冠動脈病変を生じていない.P‐sepとGOT(相関係数 = 0.661(95%信頼区間:0.486‐0.785)P=1.63e‐08),GPT(相関係数0.641(95%信頼区間:0.459‐0.772) P=5.97e‐08)に強い相関がみられ,LDHとの間に弱い相関がみられた(相関係数0.486(95%信頼区間:0.249‐0.669)P=0.000222).CRP,WBC,血沈などの炎症指標と相関はなかった.また,久留米スコアとの間に弱い相関がみられた(相関係数=0.308(95%信頼区間:-0.0333‐0.585)P=0.076).IVIG反応群と不応群の間に有意差はなく(P=0.275),治療前後で有意差を生じた.(P=8.73e‐05)【考察・結語】P‐sepは全身血管炎による炎症指標でなく,臓器障害の指標として有用性が示唆され,症例の蓄積による追跡調査を進める.