[P34-01] 経皮的心房中隔欠損閉鎖術を施行した年少児のP波についての解析
キーワード:P波幅, 心房中隔欠損症, カテーテル治療前後
【背景】心電図のP波の幅やばらつきは、成人では心房細動発症の予測因子、小児では心房中隔欠損症患児(ASD)は健常児より延長と報告されている。【目的】ASD年少患児において、P波が血行動態指標を反映しているか、また治療する事でP波が変化するか調べる。【対象】2016年1月-2017年9月に当科で経皮的心房中隔欠損閉鎖術施行した6歳以上9歳未満の患児21名【方法】II誘導のP波幅(P幅)、12誘導での最大P波幅(最大P幅)、12誘導でのP波幅の最大値と最小値の差(Pばらつき)を計測した。洞調律時の変動の少ない連続3心拍で計測、平均した数値を計測値として解析に用いた。治療前のP波計測値とカテでの各血行動態指標(Qp/Qs, mean PAP, Rp)の相関性、経皮的閉鎖術前・1か月後・3か月後でのP波計測値の変動性を、各々spearmanの順位相関係数、wilcoxon検定を用いて解析。数値は中央値と範囲で示した。【結果】患者は、年齢7.2歳、体重21.2kg、ASD最大径13.0mm(7.4-26.8)、ASD最大径が体重より大きいlarge ASD 8例(38%)、Qp/Qs 2.2(1.5-3.7)、mean PAP 16mmHg(10-22)。治療前は、P幅79ms(60-93)、最大P幅88ms(66-110)、Pばらつき22ms(14-39)。治療前P波計測値と年齢・体重・ASD最大径・Qp/Qsに有意な相関は認めなかった。P幅、最大P幅、Pばらつきを治療前、1か月後、3か月後で比較すると、3か月後の最大P幅が治療前・1か月後より有意に短縮していた(88 vs 88 vs 85 ms, p=0.2~0.4)。【結語】ASD年少児でP波幅は延長傾向にある。P波幅と血行動態指標とは相関しなかった。心房容積と解析する必要がある。P波幅は治療すると3か月後に短縮し始めた。