[P35-01] Carotid-Subclavian Index>3/2およびIsthmus/Descending Ratio<2/3を満たすmild coarctation症例ではPGE1製剤が漸減中止可能であった
Keywords:大動脈縮窄, Carotid-Subclavian Index, Isthmus/Descending Ratio
【背景】大動脈縮窄(CoA)は大動脈離断類似の最重症例から無症状な軽症例まで存在する。特に上下肢の血圧差を認めるが狭窄が軽度のCoAの場合、その診断およびPGE1や手術介入の必要性を決定する判断は難しいが、信頼性の高い指標にも乏しい。2Dエコーを用いたCross-Sectional StudyにおいてCoAとnon CoA症例の関連因子に関して様々な指標が提案されている。Carotid-Subclavian Index(CSI)>3/2、あるいはIsthmus/Descending Ratio(I/DR)>2/3はCoAを除外する指標として感度、特異度が88-100%であると報告されている。【方法】2017年1月1日から2017年12月31日までに当院に入院した生後3ヶ月未満の24症例について、上下肢の血圧差などの臨床所見、2Dエコーによる大動脈弓の形態、 CSIおよびI/DRの値、isthmusの血流、MDCTなどによってCoAの有無を診断した。24例中、CoAおよびnon CoAの境界に属する症例は4例存在し、いずれもCSI>3/2およびI/DR<2/3を満たした。これらの症例に関しては僅かな上下肢の血圧差とPDAのLR shuntを認め、NICUにて厳重なモニタリングの元、PGE1製剤を漸減中止可能であるか、前方視的に経過観察した。【結果】症例1:simple CoA、症例2:ELN遺伝子異常症疑い、SVAS+ hypoarch +bilateral PPS、症例3:21トリソミー、simple CoA、症例4:CoA+ASD、の4症例においてPGE1製剤は問題なく漸減中止可能であった。また経過中にisthmusの緩徐な成長を認め、上下肢の血圧差は0に近づき、血行力学的な改善も認めた。【結語】上記4症例においてPGE1製剤を中止可能であり、その後も1~9か月間のフォローアップ期間において、外科的な介入を必要としていない。CSI>3/2であれば、I/DR<2/3であっても循環動態が成り立つ可能性があり、CSI>3/2はPGE1製剤を中止する有力な指標となるかもしれない。今後はこのような症例が長期的にも問題ないのか更なる経過観察および症例の蓄積と解析が必要と考えられた。