[P35-05] 小児循環器領域における4D-CTの有用性と課題
Keywords:4DCT, 画像診断, 被曝
【背景・目的】近年CT装置と撮像法の進歩は著しいが、4DCTは冠動脈など微細な構造でも適した時相を抽出することで明瞭な画像が得られ、弁や心内構造を立体動画に構築することが可能で、当院でも施行例が増加している。今回は4DCTの有用性と課題を明らかにすることを目的とし、代表的な画像と共に報告する。【対象・方法】2×128列Dual Source CTによる4DCTを開始した2015年以降、同法で撮影を行った65例を対象とし、十分な情報を得られた画像をgood、一部不明瞭だが有用であった画像をacceptable、目的の情報を得られなかった画像をpoorと3段階で評価した。【結果】症例の平均年齢は3.47歳(0‐17歳)、撮像の対象は、TGA症例での動脈スイッチ術前の冠動脈:28例、その他CHDの冠動脈:7例、房室弁:12例 (CAVV:5例、MV:3例、Ebstein/TV:4例)、大動脈弁:6例(Truncal valve:2例)、DORV等reroutingを要する症例の心内形態:5例、MAPCA:4例、心機能/容量解析:3例であった。生後6か月未満の児では鎮静、挿管による息止め下で施行し、5歳以上では指示による息止め下に施行が可能であった。画像の評価は、good:59例(90.8%)、acceptable:2例(3.1%)、poor:4例(6.1%)で、TGA症例では、CTと術中の冠動脈走行の診断が全例で一致しており、大動脈弁・僧帽弁については弁周囲組織を含めた詳細な評価が可能であった。poorのうち3例は三尖弁を対象にしており、右房内で造影剤が不均一となることが原因で、上下肢から分割して造影剤を注入することで対応できた。通常の心臓CTにおける実効線量が平均1.61mSvであったのに対し、4DCT撮像における実効線量は平均20.94mSvであった。【結論】4DCTは多くの症例で有用であるが、乳児期に明瞭な画像を得るためには息止めのため鎮静・人工換気を要すること、被曝量が多くなることなど課題もある。今後4DCTを行う症例の選別と、低侵襲かつ低被曝線量を目指した撮像方法の模索が求められる。