[P36-01] Berlin Heart EXCOR送脱血管皮膚貫通部固定方法の工夫
Keywords:LVAS, 皮膚貫通部, 感染
【はじめに】2015年8月より小児用体外設置式補助人工心臓システム EXCOR Pediatricが保険償還された。当院は2016年1月1日に植え込み実施施設となり、現在までに2名の患児に装着した。【目的】当院ではNIPRO VAD植え込みの経験から、腰ベルト・LVAD用ポンプカバーを用いて体外設置型VADの固定を行ってきた。EXCOR Pediatricを装着した小児例においても、同様にポンプの固定を行っていたが、送脱血管皮膚貫通部の動揺が制御できず、この動揺による皮膚貫通部の感染を認めたため、ポンプの固定方法を変更した。この方法の是非について検討を行った。【症例】症例1: 1歳6ヶ月(体重7.7kg)・女児、左室心筋緻密化障害による心不全にてEXCOR Pediatric装着術施行。症例2: 7歳10ヶ月(体重16.5kg)・女児、DCMによる心不全にてEXCOR Pediatric装着術施行。【結果】2名とも、腰ベルト・LVAD用ポンプカバーを用いて送脱血管皮膚貫通部の固定を行った。症例1においては、患児の体動が強く、送脱血管皮膚貫通部の動揺が制御できず送脱血管と皮膚との接触による肉芽形成+細菌感染を発症した。感染回避のためには固定強化が必要と考え、マジックテープを用いて送脱血管をポンプカバーに固定する方法をとり、感染の悪化は一時的には制御できた。しかしADL up+患児の成長に伴い、皮膚貫通部の安静が得られず肉芽は増大傾向となり、送脱血管のテープ固定強化を追加で行い、感染悪化はなく経過できている。症例2では、VAD装着後8ヶ月経過時に送血管皮膚貫通部に急激に増大する肉芽形成を認めたが、症例1と同様に送脱血管皮膚貫通部のテープ固定強化を追加で行い、創部感染を発症することなく速やかな肉芽の縮小が得られた。【考察】体外設置型VADでは、全身管理に加え、送脱血管皮膚貫通部の局所感染制御が重要となる。運動制限をすることなく、送脱血管皮膚貫通部の固定強化を行う事で、送脱血管皮膚貫通部の感染を制御できると考えられた。