[P36-03] 乳児期よりDDDペースメーカーを選択した左心低形成症候群、完全房室ブロックの2例
Keywords:DDD, ペースメーカー, 完全房室ブロック
【背景】先天性房室ブロックへの恒久的ペースメーカー挿入(PMI)は新生児期~乳児期ではVVIが一般的であるが、左心低形成症候群(HLHS)で房室弁逆流を合併するような低心機能の症例にはより生理的なDDDが有効な場合もある。【目的】完全房室ブロック(CAVB)を合併したHLHSにDDDペースメーカーを選択した2例の経験とその有効性を報告する。【方法】HLHSで房室弁逆流を伴い、CAVBを認めた2例においてPMI前後の臨床症状と心機能を評価し、その有用性を検討した。【結果】症例1:Lt.isomerism, HLHS, congenital CAVB。両側肺動脈絞扼術後、生後1か月でmodified Norwood、生後2か月(3.2kg)でPMI(VVI)を施行したが、心収縮能が低く体重増加不良であった。心房心室の協調した収縮から生理的な心拍出が得られるよう生後5か月(3.7kg)でDDDにupgradeしたところ心不全の改善と体重増加が得られ、生後7か月(4.9kg)でTCPSへ到達した。症例2:HLHS, situs inversus, CAVB。両側肺動脈絞扼術、ASD creation施行後に高度AVBが出現した。生後3か月でmodified Norwood施行後、房室弁逆流と大動脈の後負荷不整合がありCAVBへ増悪した。PMIは症例1を受けてDDDのメリットが大きいと判断し生後4か月(3.6kg)でDDDを挿入した。術後、リード縫着部でdyskinesisを生じたが、観血的動脈圧測定のもとでrate-adapted AV delayを設定し血圧上昇と心不全の改善、体重増加を認めた。2症例ともジェネレーターはMedtronic社AdaptaDR ADDRS1、リードは同社CapSure Epi(bipolar)であった。潰瘍やリードトラブルは起こしていない。【結語】CAVBを合併したHLHSの2例に対して乳児期にDDDペースメーカーを挿入した。2症例ともエコーでの心機能上昇は明らかではなかったが、体重増加や血圧上昇などの臨床所見の改善を認めた。房室弁逆流を伴い心機能の低い単心室症例のCAVBには乳児期からDDDペースメーカーの導入を検討してもよいと思われた。