[P36-04] 先天性心疾患(CHD)術後に心臓再同期療法(CRT)を導入した症例をエコーで診る
Keywords:心臓再同期療法, CHD術後, reverse remodeling
【背景】当院ではCHD術後にCRT導入となった症例を経時的に心エコーでフォローアップし、CRTの設定を適宜調整することで心不全の改善を期待している。【目的】心エコーフォローで心機能の改善が得られているかを検証する。【対象・方法】CHD術後にCRT導入(CRTデバイス使用)し生存している6例。心エコーでspeckle trackingによる動きのずれ、velocity time integral(VTI)、更には心電図のQRS幅などを指標にCRTの設定を変更し、経過中のQRS幅・BNP・心胸郭比・NYHAの変化を評価した。【結果】内訳は、二心室修復4例、単心室修復2例。CRTの導入年齢は1.9~29.3歳(中央値21.8歳)、導入後フォローアップ年数は1.5~7.3年(中央値4.7年)。QRS幅はCRT前122~238msec(中央値210msec)、後102~204msec(中央値176msec)。BNPはCRT前110~700.2pg/ml(中央値404pg/ml)、後34~815.6pg/ml(中央値91.3pg/ml)。心胸郭比(平均)は前0.61、後0.58。NYHA分類は前後でII→Iの改善が3例、I→I,II→IIの不変が3例。【考察】CRT前後で各指標の有意差は得られなかったが、CRT前後でNYHAが改善したと判断した症例3例全例で、BNPの低下・QRSの短縮・CTRの縮小が得られた。中でもBNPは50pg/ml前後で推移し、単心室修復の2例が含まれ大きな効果が得られていた。一方、CRTの効果が乏しく心不全の進行が止められない症例も存在した。特に単心室形態ではCRT設定を適宜調整することが心筋のreverse remodelingに繋がると考える。【結語】CRTの効果をエコーで評価し適宜設定変更を繰り返すことは、心筋のreverse remodelingに際して有用である。