[P37-04] ファロー四徴症術後症例における大動脈の硬さと左室機能
Keywords:Fallot四徴症術後, 大動脈の硬さ, 左室機能
【背景】ファロー四徴症(TOF)の上行大動脈(Ao)は組織学的異常に基づく大動脈壁硬化があり、Aortopathyを生じる代表的疾患である。成人期TOFでは大動脈の硬さが左室機能に悪影響があるとの報告はあるが、小児期を含めた患者でこの両者の関係を検討した報告は少ない。【目的】主に小児期TOF術後患者のAoの硬さと左室機能との関係を検討する。【方法】当院で心エコーならびに心臓カテーテル造影検査(心カテ)を同日、または1日違いで施行したTOF術後症例(T群)を対象とした。血行動態的に有意でない心疾患症例をコントロール(C群)として、その両者でのAoの硬さと、造影、心エコーでの左室機能を比較した。Aoの硬さは大動脈造影を用いてAo径と圧からstiffness index(SI)を算出した。左室機能の指標として、心カテで左室駆出率(LVEF)、左室拡張末期容積index(LVEDVI)、Fick法を用いたQs(L/min/m2)、心エコー検査で左室自由壁のE/e’, s’(cm/s), Tei index、左室心筋重量係数(LVMI)(g/ m2)を計測した。【結果】T群は31例、C群は15例で、評価時年齢はそれぞれ中央値9.2歳(2.1~43.7歳)、5.9歳(1.2~18.1歳)だった。AoのSIはT群 vs. C群が4.9±3.0 vs. 2.0±0.6 (p<0.05)で、T群でAoが有意に硬かった。SIと年齢には正の相関がみられ(r=0.65)、LVEF、Qsには弱いながら負の相関(LVEF:r=0.35, Qs:r=0.33)が、LVEDVIには正の相関がみられた(r=0.32、全てp<0.05)。心エコー検査での指標ではSIとLVMI(r=0.35, p<0.05)、Tei index(r=0.32, p<0.05)とに正の相関がみられたが、左室E/e’、s’には相関はなかった。【結論】症例数が限られているが、小児期TOFにおいてもAoの硬化は左室機能に影響を与える因子の一つである事が示唆された。