The 54th Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

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ポスターセッション

外科治療

ポスターセッション40(P40)
外科治療 6

Fri. Jul 6, 2018 6:00 PM - 7:00 PM ポスター会場 (311+312+313+315)

座長:大嶋 義博(兵庫県立こども病院 心臓血管外科)

[P40-05] NCCPによるmoderate ARを伴うVSD閉鎖の術中に緊急大動脈弁形成を要した一例

菅野 幹雄1, 荒瀬 裕己1, 川谷 洋平1, 小野 朱美2, 黒部 裕嗣1, 藤本 鋭貴1, 北市 隆1, 早渕 康信2, 北川 哲也1 (1.徳島大学大学院 医歯薬学研究部 心臓血管外科学分野, 2.徳島大学大学院 医歯薬学研究部 小児科学分野)

Keywords:大動脈弁閉鎖不全, 無冠尖逸脱, 心室中隔欠損

症例は2歳女児.心雑音により心室中隔欠損(VSD)と診断され自然閉鎖を期待し経過観察されていた.VSD閉鎖傾向なく大動脈弁閉鎖不全(AR)を来す様になり手術適応とした.VSDは径5.5mmの傍膜様部型で体/肺血流比1.5であった.また無冠尖(NCC)逸脱による中等度のARを認めた.今後VSD jetによるARの進行が危惧されVSD閉鎖を行うこととした.大動脈弁は術中観察のみ行う方針とした.
人工心肺下,心停止下に経右房アプローチでVSDを確認.VSD越しにNCCが広く覆い被さる形態であり,PTFE patchを用いた連続縫合によるVSD閉鎖を行った.大動脈弁はNCCの逸脱を認めたが,弁尖の肥厚及び短縮が強く接合が非常に悪い印象であった.NCC-LCC間の交連縫縮のみ行い大動脈遮断を解除したが,心室細動/粗動を繰り返した.リドカイン,アミオダロン投与や直流除細動に反応はなかった.冠血流確認目的に冠静脈洞からのback flowを確認したが非常に乏しく,再度大動脈遮断を行った.順行性/逆行性心筋保護とも問題なく冠動脈の異常はないと判断.急性ARの可能性が高いと考え大動脈弁形成を行った.術中計測ではgeometric height(GH)はRCC9mm,LCC8mm,NCC6mmで大動脈弁輪径は12mmであった.弁尖切除を行わずNCCの弁尖延長のみ行うのが適切と判断.グルタルアルデヒド処理自己心膜を用い,NCCを6mm延長しGHが12mmになる様にデザインした.弁尖延長に加えNCC-RCC間,NCC-LCC間の交連縫縮を施行し各弁尖の良好な接合を得た.大動脈遮断解除後は速やかに洞調律に復し,その後不整脈を認めなかった.術後心エコーでARは中央からのtrivialのみであった.その後経過は問題なく第14病日に軽快退院した.
術前に中等度のARが心停止の影響やVSD閉鎖に伴うgeometryの変化により術中急激に変化したことが最も考えられた.同様の症例が今後起こり得るため,中等度以上のARを伴う症例については緊急での大動脈弁形成を視野に入れた手術構築を行うべきと考える.