The 54th Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

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ポスターセッション

電気生理学・不整脈

ポスターセッション41(P41)
電気生理学・不整脈 3

Fri. Jul 6, 2018 6:00 PM - 7:00 PM ポスター会場 (311+312+313+315)

座長:豊原 啓子(東京女子医科大学 循環器小児科)

[P41-01] 発作性上室性頻拍後に頻脈誘発性心筋症及び脳梗塞を合併したWPW症候群の一例

宮本 辰樹 (福岡大学病院 小児科)

Keywords:心原性脳梗塞, WPW症候群, 小児脳卒中

【はじめに】小児の脳梗塞は本邦で0.2人/10万と稀な疾患である.脳梗塞の原因が発作性上室性頻拍症であったという報告は少ない.【症例】6歳男児.腹痛と繰り返す嘔吐を主訴に前医を受診,胃腸炎と診断された.翌日も頻回の嘔吐のため同院を再診した.輸液と制吐剤の点滴を受け,血液検査は脱水所見を呈していた.この時頻脈に気づかれ12誘導心電図を施行されたが,心電計の自動判読ではHR 136/minと判定された.その後も嘔吐により経口摂取できず,嘔気が続いた.発症から7日目に同院を再診し,頻脈を指摘され当科へ紹介された.来院時の心電図から発作性上室性頻拍と診断し,アデノシン三リン酸の投与で洞調律に回復した.回復後の心電図でWPW症候群と診断した.胸部X線写真では右胸腔内に著明な胸水貯留があり,心臓超音波検査で左房左室の拡大と両房室弁逆流,左室収縮能低下を認めた.頻脈誘発性心筋症と診断し,PDE3阻害薬を開始した.以後発作性上室性頻拍を呈することはなく,心機能は改善傾向であった.入院翌日の夕方に突然不機嫌となり,呼びかけに応答がなく混乱していた.心電図,胸部X線,心臓超音波検査では増悪を認めず,自然入眠した.3時間後にGCS 9(E3V2M4)右上下肢の麻痺を認め,頭部MRIにて左中大脳動脈M2閉塞,左被殻~放線冠にかけて高信号域あり,脳梗塞の診断で急性期血行再建術を施行した.rt-PA静注後にステント型血栓回収デバイスを用いて血栓回収療法を施行,ヘパリンとエダラボン投与を開始し,NIHSS(National Institute of Health Stroke Scale)は 21点から翌日には0点に改善した.5日後よりワーファリン投与を開始した.脳梗塞の原因検索を行ったが特定できなかった.心機能は改善し後遺症なく退院した.【まとめ】発作性上室性頻拍後に頻脈誘発性心筋症と脳梗塞を合併したWPW症候群の一例を経験した.経過から脳梗塞の原因として頻脈誘発性心筋症による血栓形成が考えられた.