[P41-03] 学校心臓検診受診後に失神をきたし搬送された洞不全症候群の女児例
キーワード:洞不全症候群, 不整脈, 心停止
【緒言】洞不全症候群(Sick Sinus Syndrome:SSS)は,洞結節やその周辺の心房筋の障害によって,徐脈や心停止を来たす症候群である.小児の特発性のSSSは非常に稀な疾患であるが突然死の可能性があり,その抽出は非常に重要である.今回我々は,心静止を来し,突然死の危険性のあったSSSを経験したので報告する.【症例】6歳女児.【家族歴・既往歴】失神歴なし,他特記事項なし.【現病歴】学校心臓検診を午前中に受け,検診終了後にめまいを訴え,保健室でトレンデンベルグ体位をとり観察していたところ,約5分程度の意識消失を認めた.意識は自然に回復した為,コンピュータ診断はSSS疑いであったが,高次検診施設に上がることなく保護者が学校に呼び出され受診を命じられた.近医受診にて,高度の徐脈を指摘され当院へ紹介された.【来院時現症】体温36.5℃,心拍30回/分,血圧86/51mmHg, 意識レベルE4V5M6であったが易疲労感あり, 顔色やや蒼白,心音整 S1,S2正常,心雑音なし.【来院時検査結果】心電図:HR30bpm, SSS Rubenstein分類2型.胸部レントゲン検査結果:CTR53%,肺血管陰影増強なし.心エコー検査:左室拡張末期径43.9mm, 左室駆出率70.6%. 【入院後経過】高度洞徐脈(HR20-30回/分)で失神あり一時的なペースメーカー(PM)を挿入し,VVIでVrateは75回/分に設定した.ペーシングoffテストでは心静止となり,自己脈回復せず入院7日目に永久的なPMを挿入した.経過中,入院14日目頃から心房粗動(AF)を認め電気的除細動を行うも効果は一時的であり,入院35日目にカテーテルアブレーションを施行した.以降AFの再燃は認めていないが,PMリズムのまま退院となった.【考察】今症例は心臓検診の時点で,すでに約10秒程度の心静止を生じていた.心事故発生の予防には学校健診での抽出が重要であり,重篤な不整脈が発見された場合に,結果がより迅速に医師側に伝わるシステム構築が今後は必要である.