[P43-04] 睡眠時無呼吸症候群を合併したFontan術後患者に対する在宅CPAPの効果
キーワード:Fontan, 睡眠時無呼吸症候群, 在宅NIPPV
[背景]肺への駆動心室欠如を特徴とするFontan循環において、心拍出量の約30%は呼吸運動の影響を受けるため、睡眠時閉塞性呼吸障害・睡眠時無呼吸症候群(SAS)は循環動態に大きく影響すると考えられる。積極的に在宅非侵襲性陽圧換気療法(NIPPV)を導入し循環動態が改善した成人Fontan術後2症例を報告する。[症例1]16歳男性。診断は僧帽弁閉鎖。生後2か月に肺動脈絞扼術、1歳4か月時Glenn手術、2歳5か月時にFontan手術(心外導管16mm)を施行した。術後左横隔膜神経麻痺を合併し術後の中心静脈圧は平均11mmHgであった。12歳から3年間で体重 45kg→70kg、BMI 20→29に増加した。14歳時の心臓カテーテル検査で鎮静後上気道閉塞症状を認め、その際中心静脈圧は平均15mmHgと高値であった。高校入学後から労作時呼吸困難が自覚するようになった。ポリソムノグラフィーでは、無呼吸低呼吸係数(AHI) 50であり重症SASと診断した。在宅NIPPVを導入したところ、体重 55kg、BMI 23に低下した。また心臓MRI検査では心係数(L/min/m2)がNIPPV導入前後で2.33から3.05 へと増加した。[症例2]42歳男性。診断は完全大血管転位、心室中隔欠損、僧帽弁閉鎖、下大静脈欠損、多脾症候群。17歳時にTotal cavopulmonary shuntを施行し、術後洞不全症候群となりペースメーカー(AAI)を留置した。22歳時にFontan手術(心外導管16mm)を施行した。術後に体重は45kg→58kg、BMI 17→23に増加した。入眠時に閉塞性無呼吸の所見がみられ、日中の頭痛、全身倦怠感や、1回/月の頻度で心房粗動や心房細動が出現した。37歳時ポリソムノグラフィーを施行したが、AHI=1.0でSASの診断には至らなかった。しかし42歳時在宅NIPPVを導入したところ、症状が改善し導入後1か月で-3kgの体重減少を得た。[結論]在宅NIPPVによるSASの改善は、Fontan循環を改善し、患者のQOL向上につながる。Fontan術後患者に対しては睡眠時の呼吸障害改善へ積極的な医療的介入が必要である。