[P44-01] Pulomonary artery sling 術後の左肺動脈狭窄
Keywords:pumonaru artery sling, 肺動脈狭窄, 気管狭窄
【目的】PA slingに対する手術後に左肺動脈の狭窄や左肺血流の低下を認める場合があり,当院での症例で調査検討する.【対象と方法】2010年3月から2017年12月に手術を施行したPA sling 22例中術後評価が行われた21例を対象とし,それらの診療録を後方視的に調査し主に左肺動脈の評価を行った.更に左肺動脈再移植法に若干の変更を加えた2014年4月の前後で2群に分け,前期10例をI群,後期11例をII群とし比較検討した.尚,術後左肺動脈狭窄は,左肺血流比30%未満と10mmHg以上の圧較差,そしてカテーテルおよび外科的肺動脈形成を要した例とした.【結果】21例(女児8例)の手術時月齢は2.1~23.1ヵ月(中央値5.7ヵ月),手術時体重は3.0~9.3kg(中央値6.5kg).有意な気管狭窄を18例に認めスライド気管形成術を同時に施行した.また同時修復を要した心内奇形は8例でASD 5,TOF 2,VSD1であった.病院死亡はなく全例転院もしくは退院した.遠隔死1例を含めた初回肺血流シンチでの左肺血流比30%未満の症例はI群3/9例,II群1/11例(P=0.55)で,実測値はI群35.0±12.5%,II群49.7±12.6%(P=0.01)であった.初回心臓カテーテル検査時の圧較差10mmHg以上はI群5/9例,II群2/11例(P=0.16)で,実測値はI群20.1±17.2mmHg,II群4.9±2.8mmHg(P=0.01)であった.II群1例への外科的形成術を含め左肺動脈狭窄への治療介入はI群7/9例,II群3/11例(P=0.07).術後左肺動脈狭窄は全体で21例中11例52%に認め,I群8/10例,II群3/11例(p=0.03)であった.左肺動脈狭窄の要因は吻合部狭窄が8例と主であるが,左主気管支の圧排による左肺動脈遠位部の狭窄も数例に認めた.【考察】PA sling術後の左肺動脈狭窄は比較的高頻度に認めた.前期群にはTOF合併例もあり単純な比較は出来ないが後期群で術後左肺動脈狭窄の発生が少ない傾向にあった.吻合部狭窄以外にも左肺動脈狭窄をきたす要因があり注意深い経過観察が重要と思われた.