[P46-01] 生後1か月の間に高肺血流から低肺血流に移行し,緊急BTシャント術を施行した三尖弁閉鎖の1例
キーワード:三尖弁閉鎖, 右室流出路狭窄, 緊急BTシャント術
【はじめに】三尖弁閉鎖 (TA)では,右室流出路 (RVOT)の狭窄や心室中隔欠損 (VSD)の狭小化が進行する例が存在するが,生後1か月以内に生じることは少ない.
【症例】日齢0の男児.胎児診断でTAが疑われていた.在胎39週2日,体重2878 gで出生した.出生後の心エコーでTA (1c),卵円孔開存と診断した.日齢4に動脈管は閉鎖したが,肺血管抵抗に低下に伴いうっ血性心不全が出現したため,日齢5から利尿薬の内服を開始した.日齢17の採血でBNP 715.0 pg/mLと高値のため,アンギオテンシン変換酵素 (ACE)阻害薬の内服を開始した.心エコーで肺血流増加に伴う卵円孔の狭小化を認め,血行動態および心房中隔裂開術の適応評価を目的に心臓カテーテル検査を予定していた.しかし,その後は徐々にRVOTの狭窄やVSDの狭小化が進行し,肺血流量の減少傾向を認めたため,日齢26にACE阻害薬を中止した.日齢28に啼泣を契機に,突然酸素飽和度 (SpO2)が80%台から20%台まで低下し,心エコーでRVOTの高度狭窄と肺血流の著明な減少を認めた.無酸素発作と診断し,鎮静および人工呼吸管理を行ったうえでβ遮断薬を静脈内投与したところ,SpO2は80%台まで上昇した.心臓カテーテル検査は中止し,BTシャント術を行う方針とした.しかし手術待機中の日齢31に無酸素発作を再発し,高濃度酸素投与とβ遮断薬およびα刺激薬の持続投与を必要としたため,同日緊急でBTシャント術,主肺動脈結紮術および心房中隔欠損作成術を行った.術後経過は良好で日齢55 (術後24日目)に退院した.
【考察】TAにおけるRVOTの狭窄やVSDの狭小化は新生児期にも進行し,血行動態が大幅に変化する可能性がある.
【症例】日齢0の男児.胎児診断でTAが疑われていた.在胎39週2日,体重2878 gで出生した.出生後の心エコーでTA (1c),卵円孔開存と診断した.日齢4に動脈管は閉鎖したが,肺血管抵抗に低下に伴いうっ血性心不全が出現したため,日齢5から利尿薬の内服を開始した.日齢17の採血でBNP 715.0 pg/mLと高値のため,アンギオテンシン変換酵素 (ACE)阻害薬の内服を開始した.心エコーで肺血流増加に伴う卵円孔の狭小化を認め,血行動態および心房中隔裂開術の適応評価を目的に心臓カテーテル検査を予定していた.しかし,その後は徐々にRVOTの狭窄やVSDの狭小化が進行し,肺血流量の減少傾向を認めたため,日齢26にACE阻害薬を中止した.日齢28に啼泣を契機に,突然酸素飽和度 (SpO2)が80%台から20%台まで低下し,心エコーでRVOTの高度狭窄と肺血流の著明な減少を認めた.無酸素発作と診断し,鎮静および人工呼吸管理を行ったうえでβ遮断薬を静脈内投与したところ,SpO2は80%台まで上昇した.心臓カテーテル検査は中止し,BTシャント術を行う方針とした.しかし手術待機中の日齢31に無酸素発作を再発し,高濃度酸素投与とβ遮断薬およびα刺激薬の持続投与を必要としたため,同日緊急でBTシャント術,主肺動脈結紮術および心房中隔欠損作成術を行った.術後経過は良好で日齢55 (術後24日目)に退院した.
【考察】TAにおけるRVOTの狭窄やVSDの狭小化は新生児期にも進行し,血行動態が大幅に変化する可能性がある.