第54回日本小児循環器学会総会・学術集会

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ポスターセッション46(P46)
その他 2

2018年7月7日(土) 13:00 〜 14:00 ポスター会場 (311+312+313+315)

座長:桃井 伸緒(福島県立医科大学 小児科学講座)

[P46-04] 敗血症性ショックにより循環動態が破綻し、重篤な経過を辿った2症例

佐藤 一寿1, 野木森 宜嗣1, 加藤 昭生1, 北川 陽介1, 若宮 卓也1, 小野 晋1, 金 基成1, 柳 貞光1, 太田 教隆2, 麻生 俊英2, 上田 秀明1 (1.神奈川県立こども医療センター 循環器内科, 2.神奈川県立こども医療センター 心臓血管外科)

キーワード:敗血症性ショック, 先天性心疾患, ECMO

【背景】近年予防接種政策により乳児期敗血症は減少しているが、先天性心疾患における敗血症はその特殊な血行動態のために重篤な経過を辿ることが多い。今回我々は敗血症性ショックにより循環動態が破綻し、重篤な経過を辿った2症例を経験した。【症例1】PA/VSDの男児。在胎39週に仮死なく出生。lipoPGE1投与で成長を待ち、日齢38で右BTシャント術を施行。術後数時間で低酸素のためECMO導入。シャント内血栓を認め、milkingのみで酸素化改善し1日で離脱。入院中から乳児湿疹が重度で皮膚科にステロイド外用を勧められたが拒否。生後4ヶ月に哺乳不良、発熱で受診。院着時には顔色不良、頻脈、著明な低酸素血症を認め、滲出液を伴う湿疹が著明であった。血圧、SpO2を維持できずECMO導入。血液、尿からGBSが検出され、敗血症性ショックと診断。入院翌日にシャント変更、入院4日目でECMO離脱したが、入院6日目に著明な大泉門膨隆あり、CTで脳出血、閉塞性水頭症、脳ヘルニアを認めた。開胸下であり脳外科的介入不可能で、入院11日目に対光反射消失、瞳孔散大した。過去の培養でGBSは未検出であった。【症例2】無脾症候群、単心房、単心室、肺動脈狭窄の男児。在胎 38週 に帝王切開で出生。lipo PGE1と肺動脈弁下狭窄に対しβ blocker内服で管理。顔面のざ瘡がひどく外用で徐々に改善した。日齢37にPI閉塞あり、刺入部腫脹がみられたが発熱や炎症反応上昇なし。日齢40に突然発熱を認め、皮膚色不良、血圧低下、徐脈があり、カテコラミン投与、輸液で改善せず、内科加療では限界と判断しECMO導入。血液培養採取後6時間で陽性となり、重症敗血症性ショックと診断。その後も治療の反応に乏しく、同日夜に永眠された。血液・便・喀痰からStreptococcus gallolyticus ssp. Pasteurianusが検出された。【考察】ECMOを導入しても救命しえない症例があり、免疫能の脆弱性を疑う背景疾患には厳密な介入・予防策が必要と考えた。