The 54th Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

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ポスターセッション

その他

ポスターセッション46(P46)
その他 2

Sat. Jul 7, 2018 1:00 PM - 2:00 PM ポスター会場 (311+312+313+315)

座長:桃井 伸緒(福島県立医科大学 小児科学講座)

[P46-06] 大動脈弁上狭窄の進行後も心電学的左室肥大を認めず、左側胸部誘導の陰性U波のみが左室過負荷所見と考えられたWilliams症候群の1幼児例

佐藤 工1, 佐藤 啓1, 三浦 文武2, 嶋田 淳2, 大谷 勝記2, 高橋 徹2, 小渡 亮介3, 大徳 和之3, 鈴木 保之3 (1.国立弘前病院 小児科, 2.弘前大学医学部附属病院 小児科, 3.弘前大学医学部附属病院 呼吸器心臓血管外科)

Keywords:陰性U波, 大動脈弁上狭窄, Williams症候群

【はじめに】今回我々は、進行性の大動脈弁上狭窄(SVAS)に対して手術介入を要するも、その術前ECG上基準を満たす左室肥大所見を認めず、左側胸部誘導の陰性U波のみが左室過負荷所見と判断したWilliams症候群の幼児例を経験した。小児循環器領域での陰性U波に対する関心はけっして高いとは言えず、心電学的解釈の上で興味ある所見と考えられたので報告する。【症例】症例はWilliams症候群の4歳、女児。生後6か月時心エコー上軽度のSVASと両側末梢性肺動脈狭窄を認め、以降徐々にSVASが進行した。4歳時の心エコーで左室壁肥厚とsinotubular junctionに明瞭なridgeを認め、連続波Doppler法(CW)で左室-大動脈間に50mmHgの圧較差を認めた。ECG上SV1+RV5=3.6mV、RV6=1.4mVと左室肥大の基準を満たさず、V5、6誘導に1年前にはみられなかった0.1mV程度のごく小さな陰性U波(initial U inversion)を認めた。心カテでは左室圧150mmHg、左室-大動脈引き抜き圧50~60mmHgで、砂時計状のSVASを認めたためSVAS解除術を施行。術後LV-Ao間の圧較差(CW)は25mmHg程度に軽減し、術後5か月のECG上陰性U波は消失した。【結語】基礎心疾患を背景にもつ陰性U波は、R波やS波及びST変化以上に鋭敏に心筋障害を反映することが知られている。先天性心疾患等の心室圧容量負荷疾患を診療する機会の多い小児循環器医も、陰性U波にも強い関心をもって心電学的解釈を行いたい。