第54回日本小児循環器学会総会・学術集会

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ポスターセッション47(P47)
その他 3

2018年7月7日(土) 13:00 〜 14:00 ポスター会場 (311+312+313+315)

座長:森 善樹(北里大学メディカルセンター 小児科)

[P47-01] 先天性心疾患領域におけるシスタチンC(Cys-C)測定の有用性について

佐々木 智章1, 鍋嶋 泰典1, 寺師 英子1, 郷 清貴1, 兒玉 祥彦1, 倉岡 彩子1, 中村 真1, 佐川 浩一1, 石川 司朗1, 中野 俊秀2, 角 秀秋2 (1.福岡市立こども病院 循環器科, 2.福岡市立こども病院 心臓血管科)

キーワード:シスタチンC, クレアチニン, eGFR

【背景】先天性心疾患の予後は飛躍的に改善し、今後多臓器を含めた長期予後を評価・管理する必要がある。糸球体濾過量(GFR)はその一つであり、一般的にクレアチニン(Cr)を用いて算出されるが、Crは筋肉量や循環の影響を受けやすく、CysCを用いたeGFRの有用性が報告されている。今回、先天性心疾患領域でのCysC測定の有用性について検討を行った。
【方法】当院において2017年10~12月に心臓カテーテル検査行った生後3か月以上の94例について、Cr、CysC値よりeGFR(Cr,CysC)(mL/min1.73m^2)とその差異ΔeGFR(CysC-Cr)を算出し、年齢(old)、体表面積(BSA)、肥満率(幼児期以降)、薬剤の有無(利尿剤、ACEI/ARB、βブロッカー、肺血管拡張薬、抗凝固薬)、血液検査(Hb、BUN、UA、BNP)、心臓カテーテル所見(IVCp、FAp、SaO2、CI、Qp/Qs、RpI)による影響を評価した。
【結果・考察】筋肉量等体格は肥満率にて評価したが双方相関を認めず、eGFR(Cys-C)はeGFR(Cr)に比べ、年齢(R^2=0.36 P<.0001)、体表面積(R^2=0.24 P<.0001)と相関を認めた。またその推移は2歳頃までにGFR≧90となる生理的な推移と近似し有用と判断した。ΔeGFRでは、利尿剤有で減少(0.6 vs 13.1 P:0.036)、BUN高値で増加(R^2=0.10 P:0.0015)、CI高値で減少(R^2=0.07 P:0.0095)、Qp/Qs高値で減少(R^2=0.08 P:0.0082)と循環血液量に影響を及ぼすと考えられる因子で差異を生じた。
【結論】eGFR(CysC)は年齢・体格に対してより生理的な推移を示し、循環血液量の影響を受けると思われるeGFR(Cr)より影響が少なく有用な指標であると判断した。