[P47-03] 側彎により腎盂‐尿管移行部狭窄を生じ、水腎症をきたした左心低形成症候群
Keywords:先天性心疾患, 側弯, 腎盂尿管移行部狭窄
【はじめに】脊柱側彎症は進行すると種々の臓器を圧迫し、肺や消化器に合併症を引き起こす。一方で側弯と腎に関する報告は少ない。今回、側彎により腎盂‐尿管移行部を椎体が圧迫し狭窄を生じたことで左水腎症になった症例を経験した。先天性心疾患における側弯の認識の重要性を感じた症例であったので報告する。【症例】19歳左心低形成症候群の男性。乳児期に管理に難渋した時期があり頭部MRIで多発脳梗塞を指摘されている。7歳でGlenn手術を受けたが、側彎が進行して、左肺容量が低下し、片肺状態となっている。そのため、14才時に側弯に対して脊柱にバーをインプラントして固定する手術を受けた。しかし、16歳時にインプラントが破損したため再手術を受けた。現在は在宅酸素療法2.0 l/分でSpO2 85%、日常会話は可能で、手指の麻痺はなく、作業所で就労支援をうけていた。19才時に突然の腹痛と嘔吐があり、近医受診した。左側腹部から背部に叩打痛があり、超音波検査で腎盂拡張を認めたので尿路結石が疑われ紹介となった。しかし、入院前後で血尿はなく、腹部CTでは尿路結石は認めず、左腎盂は著明に拡大し、腎実質が菲薄化していた。CTと超音波検査から腎盂‐尿管移行部が椎体により圧迫、伸展されたことで狭窄を生じていることが原因と思われた。痛みは間欠的であり、間欠的水腎症になっていると思われた。ステント留置は難しく、感染予防、体位変換、漢方薬(芍薬甘草湯)投与で経過観察中である。また、消化管に関しては胃内容物が停滞しており十二指腸の圧迫と上腸管膜動脈の狭窄の可能性も指摘された。【考察・結語】側彎の進行により肺、消化器のみならず腎機能障害をきたすことが示唆された。側弯は自覚症状に乏しいが、進行するとその合併症はチアノーゼ性先天性心疾患の予後に大きく影響するため、注意が必要である。