第54回日本小児循環器学会総会・学術集会

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ポスターセッション47(P47)
その他 3

2018年7月7日(土) 13:00 〜 14:00 ポスター会場 (311+312+313+315)

座長:森 善樹(北里大学メディカルセンター 小児科)

[P47-04] 重症神経性食思不振症における心合併症

河津 由紀子1, 中村 千華1, 數田 高生2 (1.市立豊中病院小児科, 2.大阪市立総合医療センター小児循環器内科)

キーワード:神経性食思不振症, 心のう液貯留, 心機能低下

【背景】近年、本邦において神経性食思不振症(AN)の10代での若年発症例が急激に増加している。ANは精神障害の中で最も死亡率が高く(6~20%)循環器合併症も多いため、成人領域では多く報告されているが小児循環器領域においてはまだ少なく、認識されていない状況である。今回、当院にて心合併症を呈した重度AN症例を経験したので報告する。【症例】13歳女児。12歳時に学校検診で不完全右脚ブロックを認め、心エコーにて正常心形態心機能を確認して終診。当時は体重47.6kg。その後ダイエットを開始し4ヶ月後に意識消失のため他院搬送されANと診断。以後通院するも摂取カロリーは1日300lcal程度であった。今回、極少量の朝食後は経口摂取なく、徐々に会話困難、意識消失したため夜間に当院へ救急搬送となった。来院時JCS200~300、体重26kg(BMI10.4)。AST/ALT1969/1359 U/l。低血糖(23mg/dl)に対してブドウ糖液投与で意識は回復したが、全身状態不良であり加療のため緊急入院となった。入院後、1500ml/日、10kcal/kg/日の補液を開始し、電解質の補正やビタミン投与を開始。入院時心電図にて洞性徐脈(HR47bpm)とQT延長(QTc0.517(F)sec)を認め、入院3日目の心エコーにてEF50%と低下、中等量の心のう液貯留を認めた。Refeeding症候群を考慮し入院4日目に精査加療のため転院。転院後2か月経過するも心のう液著変なく経過、左室壁の肥厚も認めている。【考察】QT延長、心機能低下、心のう液貯留を呈した重症ANの症例である。成人例では心筋症合併、QT延長や心不全に伴う突然死の報告も見られる。重症ANにおいては小児循環器科医の介入による心臓の管理も必要であると考えられ報告した。