第54回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

ポスターセッション

術後遠隔期・合併症・発達

ポスターセッション48(P48)
術後遠隔期・合併症・発達 3

2018年7月7日(土) 13:00 〜 14:00 ポスター会場 (311+312+313+315)

座長:鶏内 伸二(兵庫県立尼崎総合医療センター 小児循環器内科)

[P48-01] 当院におけるFontan candidateに対する治療成績と予後不良因子

堀口 祥, 塚田 正範, 小澤 淳一, 沼野 藤人, 星名 哲 (新潟大学医歯学総合病院 小児科学分野)

キーワード:Fontan candidate, Glenn, Norwood

【目的】機能的単心室に対してFontan手術を目標に段階的治療を行っていくことはほぼ確立しているが、Fontan手術の適応を満たさず到達不可能な例や治療途中に死亡する例が依然として存在する。今回当院における機能的単心室に対する治療成績と予後不良因子について検討した。【方法と対象】2008年1月から2017年12月までの10年間に当院で手術を行った機能的単心室75例を対象として後方視的に検討を行った。染色体異常などにより当初から手術を選択しなかった症例は除外した。【結果】 75例のうち、Fontan手術到達例は30例(40%)であり、次段階手術待機例は22例(29%)であった。また、2008年から2014年までの出生例に限定すると、2017年12月の段階でFontan手術到達例は45例中27例であった。Fontan手術非到達例23例(31%)のうち死亡例は12例、Fontan手術非適応例が1例、転居や手術困難にて手術待機中の他施設への転院が10例であった。死亡原因としては敗血症3例、高肺血流性ショック2例、心筋虚血2例、心不全2例、腫瘍1例、詳細不明2例であった。Fontan手術非到達例では、房室弁逆流、無脾症候群、類洞交通、肺静脈閉塞・狭窄、染色体異常、新生児期の手術が予後に影響する因子と考えられた。Fontan手術非適応例が少ない理由として、適応境界の症例や手術困難と判断した症例の管理や手術介入を必要に応じて他施設へ依頼したためと考えられた。【結語】当院でのFontan手術到達率は60%であった。出生時から認めた解剖学的特徴も予後に大きく影響はしていたが、手術時期や感染、弁逆流、肺静脈狭窄などの出生後の要因も予後を悪化させていた。弁逆流の管理や介入計画、感染や高肺血流などの周術期管理といった内科的管理の向上により予後改善の余地はあることが示唆された。