[P48-02] Fontan型手術後児におけるGH治療と蛋白漏出性胃腸症のリスクについて
Keywords:Fontan手術後, 蛋白漏出性胃腸症, 成長ホルモン補充療法
【背景】Fontan術後患者の重篤な合併症にPLEがある。GHはアルドステロン類似の水分貯留作用があるとされており、PLEに悪影響を与える可能性があるが、Fontan術後児へのGH投与の是非については一定の見解がない。【目的】Fontan術後に当院でGH治療を行った3例のGH治療とPLEの関係を検討する。【症例1】13歳女児。DORV、PAで他院にて姑息術を経てTCPC法を受けた。心不全はなく、抗血小板薬とACE-Iの内服で運動制限はなかった。8歳でSGA性低身長の為、主治医に確認後当院でGH治療を開始した。13歳で感染契機にPLEを発症し、GHは中止した。【症例2】22歳男児。多脾症候群、PAで姑息術を経て他院でAPC法を受けた。以後ジゴシンと抗血小板薬内服のみで運動制限なく過ごしていたが、11歳8ヶ月に感染契機にPLEを発症した。Alb補充と利尿剤で改善し、以後利尿剤が追加になったがPLEは改善していた。12歳でTCPC法へ置換した。14歳でGH分泌不全低身長のため主治医に確認後、当院でGH治療を開始した。GH開始後1ヶ月のAlbは正常値であったが、その4ヶ月後にPLE再燃のためGH治療を中止した。【症例3】22歳男児。左心低形成で姑息術を経て3歳0ヶ月にAPC法を受けた。抗血小板薬に加え利尿剤、ジゴシン、ACE-Iを処方されていたがNYHA2度の心不全で体育はできなかった。-8SDのGH分泌不全性低身長で主治医に確認後、7歳9ヶ月よりGH治療を開始した。GH治療で心収縮力が改善し、NYHA1度に改善した。PLE発症することなく、身長増加認め17歳10ヶ月にGH治療を中止し現在就労できている。【考察】GH治療はPLEの誘発因子ではあるが、必ずしもGH投与前の心機能とは関係しなかった。【結論】Fontan術後患者へのGHの投与は慎重に行うべきである。